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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

青梅市吉川英治記念館

 用事があって青梅まで出かけたのだが、そのついでに「吉川英治記念館」を訪問する。一度は入りたいと思っていただけに喜びもひとしおである。
 なんせ吉川英治記念館はかつて2019年3月に一度閉館していた。理由は単純、来館者の減少ということで、経営が続かなくなったらしい。これはショックだった。そこまで遠くない場所だし、いつでも行けると安心していたのが間違いのもと。そもそも国民的小説家の記念館が潰れるんだという驚きもあった。
 それがいつの間にか再オープンしている。調べてみると、なんとコロナの最中、2020年の9月のことである。元々の事業母体である公益財団法人吉川英治国民文化振興会が閉館後、庭園を含む約5000平方メートルの土地や建物、1万点を超える資料に至るまで青梅市に寄付し、それを青梅市が受け継いで、再開間にこぎつけたらしい。詳細は知らないが、おそらく貴重な資料やら一切合切を消散させないための施策だったのだろう。
 今回、現地を見学して思ったが、広大な庭園などは維持費も膨大だろうと推測され、衰退する来館者数を考えると簡単な話ではなかったろう。青梅市としても相応の覚悟が必要だったはずで、よくぞ再開を決断してくれものだ。

 展示内容に関しては公式HPをを見てもらう方が早いので、リンクだけ貼っておこう (吉川英治記念館)。生原稿などはもちろん興味深いのだが、個人的にはむしろ吉川英治が十年近く暮らした屋敷と庭園を、ゆっくり見て回ることができたのがよかった。

吉川英治記念館01
▲駐車場から外観を望む。日曜日だが残念ながら来館者は少ない

吉川英治記念館05
▲常設の展示室。現在はコーエーテクモの三国志とコラボ展示中である

吉川英治記念館06
▲庭園は予想以上に広くて立派

吉川英治記念館07
▲書斎の中は残念ながら入れず。入り口から覗くにとどまる

吉川英治記念館09
▲入り口付近から母家を望む。個人的にはこの母家に入れるのが最もよかった

吉川英治記念館グッズ
▲つい嬉しくてオリジナルのブックカバーやキーホルダー、せんべいまで買ってしまう
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Comments
 
anta_dareyanen@deredemonaiさん

お役に立てたかどうか(汗)。
まあ、文学館の展示物は立体感に乏しいものが多いので、どうしても難しいのでしょうね。歴史館や博物館は現物展示物だけでなく、それを解説する企画ものの展示なども可能でしょうから、いくらでもやりようがありますね。美術館は個人的意見ですが。現物さえあればそれで十分だとは思うのですが(苦笑)。

ちなみにワープロ原稿の展示は見たことがありますが、やはり味気ないものでした(笑)。
 
ご丁寧なお返事ありがとうございます。参考になりました。
今はまだ文学館の対象となる作家さんも手書き原稿が主流でしょうが、ゆくゆくはワープロ(これも死語!?)やPCで書く時代の作家さんになるでしょうから、生原稿というものもなくなっていくのでしょうね。まあ、校正に手書きで赤入れするのはまだまだあるかも、ですが。
美術館の場合、美術作品はそもそも「展示」という形式での「発表=鑑賞」を前提にして創作されるわけですから、作品だけでも展示が成立すると言えば言えます(実際にはいろいろ情報や資料を付加して展示することも多いのですが)。歴史・民俗博物館となるとまた事情が違い、ミュージアムと一口に言っても、ジャンルごとに展示のプラン・レイアウト・構成はいろいろ変わって来ます。
 
anta_dareyanen@deredemonaiさん

コメントありがとうございます。
そうですね。あくまで個人的な意見として話しますと、美術館・美術展でしたら作品があればそれで十分です。一方、文学館にも現物展示、たとえば生原稿や創作メモ、著書、作家の愛用品の数々などの展示はありますし、もちろんあれば興味深く拝見はします。特に創作メモは著者の思考の道筋が垣間見えたりすることもありますし、生原稿だと、どのように赤入れをしているか、というのも著者のこだわりが見られて興味深いです。
ただ、文学系の場合はだいたい展示物がそのようなものに限られてますし、どれもボリュームが小さいので、ただ展示しているだけのところは物足りないですね。
魅力的に感じるのは、総花的なものよりコンセプトがしっかりして見せ方を工夫しているところでしょうか。それこそ吉川英治記念館などは、住んでいた家と庭を丸々解放していたのが珍しくて面白かったですし、当地との関わりなどに関する展示など、「青梅に住んでいた吉川英治」というテーマがはっきりしていて、見るべきポイントが押さえられていてよかったです。
また、世田谷文学館で2018年に行われた筒井康隆展などは生涯を振り返りながら作品を紹介するというオーソドックスなものでしたが、その時期自体にテーマ(断筆、演劇など)を打ち出していて見応えがありました。ディスプレイも大掛かりで凝っていた記憶があります。

個人的に嫌なのは、イベントとして行われるトークショーなどでしょうか。いや、別に企画はいいのですが、そういうイベントは1日限定だったりするじゃないですか。せめて複数回開催して日程を選べるようにするか、もしくはトークショーなどは初日にやっていただいて、以降はそれを映像で見られるようにすればいいのにと思います。
 
こんばんは。美術館員としての職業的好奇心からお尋ねしますが、文学館の展示のどんなところが魅力だとお考えですか?
広義にはどちらも「博物館」なんですけど、ジャンルが違うとかなり様相が異なるものでして。たとえば動物園や自然史博物館の人と話すと「へ~っ」てなることも多く。

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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