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search word = 鮎川哲也/編『硝子の家』(光文社文庫)
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 古典復刻ブームが今ほど盛んでなかった頃から幻の名作を紹介していたのが、光文社文庫による「本格推理」のシリーズである。
 といっても完全な叢書という形ではなく、文庫による雑誌という形式。しかも普段は投稿作品がメインで、過去の名作紹介は特別編という形をとっている。おまけにその特別編は不定期なうえ、今までに四冊しか出ていないこともあって、本当にこのシステムが売り上げ及び本格推理小説の普及に貢献しているかどうかはちょっと疑問が残るところだ。収録作は凄いところを集めているだけにもったいない感じがする。

 本日の読了本『硝子の家』は、その「本格推理」シリーズの特別編として二番目に出版された作品集。
 収録されているのは、長編・島久平『硝子の家』、中編・山沢晴雄『離れた家』、短編・天城一『鬼面の犯罪』という滅多に読むことのできないものばかりなのだ。この面子だけでも絶対に買いの一冊。以下、順に感想など。

島久平『硝子の家』
 そもそも本書を読む気になったのは、この作品のせい。二日ほど前に『島久平名作選 5−1=4』を読んだので、記憶が薄れる前に一気に固めて焼き付けておこうというわけである。『島久平名作選 5−1=4』でも中編の方が印象深かったので、長編もそれなりの期待を持って読んだ。
 密室殺人、ガラスというモチーフ、伝法探偵の謎解きとそれに至るまでのネタ振り(動物園などですね)など、本格探偵小説のエッセンスが詰め込まれてなかなか楽しい。作者の考える本格探偵小説像が見えてくるようだ。全体にトリックについての派手さはないが、けっこう好み。
 ただし、伝法探偵があそこまで事件解決を引っ張るのはあまり意味のない気もする。先日の感想でも書いたが、伝法探偵のキャラクターはいいところを狙っていると思うが、ちょっと性格の設定が強引すぎるのがもったいない。また、短編とは逆にもう少しテンポ良くいった方が、キレイに決まったのではないだろうか?

山沢晴雄『離れた家』
 これはす、すごい。凄すぎる。ここまで凝りまくった本格を読んだのは久しぶり。というかここまでやらなきゃいかんのか。なにせ初出のものがあまりに難解なため、危うく不採用になるところを芦辺拓の主張によって救われた作品らしい。しかも作者に改稿を依頼し、その新稿を採録することになったという条件付きである。そんな話が序文で紹介されているので、こりゃ心してかからんといかん、なんて思っていたにもかかわらず、その激しすぎるネタのオンパレードに思わず知恵熱が出そうになる。謎解きの段階で表解説がつくのだが、私の場合、あれがないとかなり厳しかった。とにかくだまされたと思って一度は読んでおきたい。酔います。

天城一『鬼面の犯罪』
 『離れた家』の後に読んでは、たいていの作品は影が薄くなるのも当然。しかもその作品が『離れた家』以上にわかりにくい……というか説明不足ではないのか、これでは。本書のなかではもっとも期待はずれ。天城一のけっこう有名な作品なので期待はしていたのだが……。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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