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 西荻窪の古書店、盛林堂書房さんへ出かけて、予約してあった渡辺啓助『悪魔館案内記』、ヘイワード『パスカル夫人の秘密』を回収し、ついでにルヴェル『遺恨』、フットレル『思考機械【完全版】第一巻』も購入する。今月はまだ論創社やミステリー・レガシーもあるし、そうそう『金時計』も届く予定なのだ。
 古書店へ行かなくとも新刊や同人でいろいろレアなところが買えてしまうというのは嬉しくもあり恐ろしくもあり。本当にいまは令和なのかという不思議でもある。

 で、その帰りになんとなく多磨霊園へ寄って乱歩と大下宇陀児のお墓を参ってくる。実はGW中に親戚の法事で多磨霊園へ出かけたのだが、そういえば、ここ何度か来ているけれど、乱歩のお墓とか見たことがなかったなぁということで。

多磨霊園1
▲とにかく広くて車がないと移動は厳しい。写真は大下宇陀児の墓付近


多磨霊園2
▲江戸川乱歩の墓前。平井家の墓だが、右手前には江戸川乱歩の石碑が


多磨霊園3
▲その乱歩の石碑がこちら


多磨霊園4
▲こちらは大下宇陀児の墓前。本名の木下家のお墓


多磨霊園5
▲大下宇陀児の墓であることが記されているが、石碑の色のせいでかなり読みにくい

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 昨日、わざわざ高崎まで行って「ミステリー小説の夜明けー江戸川乱歩、横溝正史、渡辺啓助、渡辺温ー」展を鑑賞したせいか、今のうちに近場で行けるものは行っておこうという気持ちになり、本日は六本木の森美術館で開催されている「ムーミン展 THE ART AND THE STORY」を訪問する。

 ムーミン展内観

 メインは作者トーベ・ヤンソンが残した原画、スケッチの類。ムーミンの全著作ごとにそれらの絵を展示するという構成で、とにかくその膨大な数に圧倒される。
 トーベ・ヤンソンの原画は過去にも何度か展覧会で見たことがあるが、基本的に挿画として描かれたものが多いせいか小さいスケッチがとにかく多い。だが、その不満を埋めてくれるのが膨大な数なのである。しかも今回は著作の発表順に展示してあるので、ムーミンのデッサンがどういう具合に変化していったかもよくわかり、ナイスな構成である。
 また、イースターカードやアドベントカレンダー、銀行の広告などに描かれたムーミンの原画というのもボーナストラック的で実によい。実際、この類は初めて見るものばかりで大満足であった。

 ついでに書いておくと図録も素晴らしい。判型はやや小ぶりながらも上製本312ページ、綴じ込みまであって2千円はかなりお買い得だろう。だいたいムーミングッズはいつも割高感があるのだけれど、今回はかなり頑張ったといえるだろう(笑)。あと、昨日の「ミステリー小説の夜明け」展の図録がひどかっただけに、余計よく見えるところはあったかもしれない(苦笑)。

 ムーミン展パンフ&図録


 少しはゴールデンウィークらしきことでもと思い、天気がよかったので高崎まで車を飛ばす。目的は土屋文明記念文学館で開催されている企画展「ミステリー小説の夜明けー江戸川乱歩、横溝正史、渡辺啓助、渡辺温ー」展である。

 「ミステリー小説の夜明け」展

 最初は探偵小説と土屋文明もしくは群馬県との関連がわからず、「なぜここで探偵小説の企画展が?」と思っていたのだが、公式サイトなどによると、渡辺啓助が昭和二十年代に二年ほどを群馬の渋川で過ごし、そこで執筆や地元有志らとの同人活動を行なっていたらしい。なるほど渡辺啓助はわかったが、じゃあ実弟の渡辺温や乱歩、正史はどうなんだという話で、どう考えても渡辺啓助ではもたないから無理やり関係ある作家を引っ張ってきて、「ミステリー小説の夜明け」としてまとめた感は無きにしもあらず(苦笑)。
 まあ、堅いことは言いますまい。乱歩や正史クラスならともかく、渡辺啓助や渡辺温がこういう文学展で取り上げられること自体なかなか珍しいので、ここはありがたく鑑賞させていただく。

 展示内容はごくオーソドックスな文学展仕様である。作品が収録された雑誌や著書、直筆原稿などが中心だが、企画展そのものの規模が圧倒的に小さく、また、乱歩や正史関連ではほぼ新味がないのが残念。
 とはいえ先ほども書いたように渡辺兄弟関係のの展示は珍しく、そこがチェックポイントか。特に渡辺温の直筆原稿を生で見たのはおそらく初めてかもしれない(兄とは異なり、けっこう可愛い字を書く)。他では渡辺啓助のラジオ番組出演時の音声が面白かった。

 ということで展示内容については不満はいくつかあれど、まあこんなものだろうとは思うのだが、図録だけはお粗末だった。たった12ページ、しかも中身もパンフレットレベルで、これで金を取りますかというレベル。せっかく関係各位に協力を取りつけて実現した企画なのだろうから、もう少し内容と価格についてきちんと相場感を勉強してもらいたいものである。というか関係各位はこの図録の監修とかにはタッチしなかったのかしら?

 「ミステリー小説の夜明け」展パンフ

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 本日は久しぶりに美術展の話など。最近は探偵小説に絡まない記事はあまりアップすることもなく、もっぱらSNSで流しているのだが、今回はかなり印象が強かったのでブログにも残しておきたく。


 奇想の系譜展_立て看

 というわけで本日は上野まで出かけ、『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』@東京都美術館を鑑賞する。
 この展示会のもとになったのは、美術史家の辻惟雄が1970年に書いた『奇想の系譜』である。同書では、かつて江戸時代絵画史の傍流とされてきた画家たちをとりあげ、斬新な発想の絵画を紹介した。今回の展示会では同書で紹介された作家を中心に八名の代表作を揃えたという。

 まあ結論からいうと、充分に楽しめた。これはあまり興味がない人でも行かないのがもったいないレベルだろう。
 江戸絵画についてはそれほど知識もないので、純粋に絵の美しさや迫力、精緻さ、あるいは妖しさや面白みなどを楽しむだけなのだが、それでも今や江戸絵画のトップスターともいえる伊藤若冲をはじめとする奇想絵師たちの代表作ばかりなので、けっこうなボリュームだがまったく飽きることがない。
 それはもちろん題材や発想によるところも大きくて、個人的には芦雪の遊び心はかなり惹かれた。「群猿図襖」の猿の表情、「白象黒牛図屏風」の犬、「なめくじ図」のなめくじの這った跡など、まあ気になる部分が目白押しで、復習のために図録まで買ってしまった。
 会期が四月七日までということなので、興味がある方はぜひどうぞ。

 奇想の系譜展_図録
▲基本、図録は買う人間である。価格はそれなりだが中身も充実している。

 奇想の系譜展_グッズ
▲グッズはあまり買わないのだが、今回はついふらふらと。お菓子に付箋、缶バッジ、栞×4種(金属、竹、紙など)

 奇想の系譜展_チラシ
▲おまけ。愛犬とチラシ


 クラヴァートンの謎_告知用

 そろそろ書店に並んでる頃なので、もう一回、告知しておきます。論創海外ミステリの最新刊、ジョン・ロードの『クラヴァートンの謎』が発売されました(管理人sugataが解説を書かせてもらってます)。

 邦訳されたロード作品の中では間違いなくトップクラス。トリッキーさでは『代診医の死』に一歩譲るものの、ストーリーの面白さや味わいでは『クラヴァートンの謎』のほうが上でしょう。オーソドックスながら、いろいろな要素を盛り込み、決して“退屈派”とは言わせない一冊になっています。ぜひお楽しみください。


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 論創社さんのホームページに告知が出たので、こちらでも宣伝しておこう。
 論創海外ミステリの第228巻としてジョン・ロードの『クラヴァートンの謎』がこの2月末に刊行される。訳者は海外ミステリ研究家でジョン・ロードやR・オースティン・フリーマンの翻訳もされている渕上瘦平氏。
 で、当サイトの管理人sugataが恥ずかしながら解説を書かせていただいた。

 退屈派の代表みたいに言われてきたジョン・ロードだが、この数年で『代診医の死』『素性を明かさぬ死』が刊行されたことで、そんな状況もずいぶん変わってきたように思う。『クラヴァートンの謎』はそういうジョン・ロード再評価の決定打ともいうべき傑作。
 何より驚いたのは、これまでジョン・ロードの大きな弱点として挙げられていたストーリーの単調さとはまったく無縁であること。探偵役・プリーストリー博士もこれまで紹介された作品では、終盤の推理合戦ぐらいにしか登場しないイメージがあるけれど、本作に関しては、亡き友人のために行動する悩める主人公である。そうしたプリーストリー博士の行動がストーリー展開にもいい影響を与えている。
 これまでのイメージを覆す、ジョン・ロードの本領発揮ともいえる一作。ぜひお楽しみに。

※論創社さんのページはこちら

↓すでに予約も開始されているようです

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 この二、三年、趣味的にミステリのベストテン比較をやっているが、今年もほぼ各種ランキング本が出揃ったようなので調べてみた(海外部門のみ)。
 基本的には『ミステリマガジン』の「ミステリが読みたい!」、『週刊文春』の「ミステリベスト10」、宝島社の『このミステリがすごい!』の各ランキング20位までを対象に平均順位を出すというもの。『本格ミステリ・ベスト10』もけっこう知名度はあるが、ジャンルが本格のみなので対象外としている。
 また、ランキングによって対象となる刊行期間が異なるため(ミステリマガジンのみ10月から9月、他は11月から10月)、1つしかランクインしていないものは省き、ふたつのランキングにランクインしているもののみ取り上げている。
 ただ、1つしかランクインしていないものでも、それがむしろランキングの個性ということにもなるので、参考資料としてそちらも並べてある。
 で、今年は以下のような結果となった。

 2019年ランキング比較

 昨日のブログでも書いたが、今年は圧倒的な創元のワンツーフィニッシュという結果である。まあ、『カササギ殺人事件』はプロモーションも力が入っていたし、しかも内容がそれに見合うものだったので妥当なところだろう。二位の『そしてミランダを殺す』はもちろん面白い作品ではあるのだが、もし『カササギ殺人事件』がいなかったらトップ独占ということになったわけで、さすがにそこまでの作品とは思えないんだよなぁ。プロットとストーリーのひねり具合がよほど評価されたんだろうか。
 三位から五位に目をやると、多少ばらつきはあるが、実はこちらもほぼ鉄板状態。とはいえ内容はハードボイルドっぽいもの、アジアン本格、ドイツのどんでん返し職人とバラエティに富み、年末年始の読書にはなかなかよいラインナップになっていると言える。
 まあ、ここまで上位ランキングが似通っていると各誌の存在意義は非常に薄くなってはしまうわけで、これを各担当さんはどういうふうに捉えるか、である。面白いものは面白いから仕方ないと開き直るか(笑)、あるいは来期はクセを強めてくるのか、お手並み拝見というところだろう。正直、後発組には少し考えてほしいものだが。

 ただ、ランキング本の意義は置いておくと、今年は創元が強かったけれど、早川、文春もかなりの数が上位を占めており、これらの版元としては大健闘だろう。文春をのぞけば、集英社や講談社、新潮社といった大手が壊滅状態だけに、専門系出版社の意地を感じる。
 そんななか、できたばかりの零細出版から出た「あやかしの裏通り」は凄い。ほぼネットでの宣伝しかしていないと思うのだが、マニア諸氏のハートをガッチリ掴んで(管理人もその口だが)、ベストテンに食い込んできたのは大したものだ。
 また、クラシックゆえランキング的にはどうしても不利だが、論創海外ミステリは今年もがんばっていた印象。まあ、ビジネスとしては難しいのはわかっているが、もう少し一般的な人気を集めてもいいと思うのだがなぁ。

 あと、ここ数年の傾向といえるかどうか、大御所や常連といった作家の作品が上位にこなかったのが印象に残った。それなりのレベルの作品を書いても、どうしても過去の傑作と比べるからインパクトは弱くなるのだろうけれど、以前は名前だけで上位にくるケースも多かったから、本当のところの出来は気になるところである。
 個人的にはキングやディーヴァーをすっかり追っかけなくなってしまったのだが、でも本当にすごい作品はやっぱり読みたいものなぁ。

 管理人の個人的注目作家はセバスチャン・フィツェックとギヨーム・ミュッソ。どちらも未読の作家で、特にフィツェックは今回のものだけでなく、既刊作品も評判がよかったようなので、そろそろまとめて読んでおきたい作家である。

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 金曜日に休みをとって、この週末は久々に温泉につかりに箱根は強羅へ出かける。まあ、温泉も料理も期待どおりでよかったのだが、問題は宿の前後に何をするか・どこへ行くかである。個人的には早めにチェックインして、昼酒でも飲みながらミステリを読み、温泉に入る、この繰り返しが理想なのだが、家族もいるのでそこまで好き勝手にはできない。
 で、今回も恩賜箱根公園にはじまり、箱根園水族館、宮城野「早川堤の桜」、箱根ガラスの森美術館、星の王子さまミュージアム、箱根ドールハウス美術館などを見物する。
 そのなかで今回ヒットだったのが、宮城野「早川堤の桜」と箱根ドールハウス美術館。

 早川堤の桜はちょうど満開の時期にあたったのがすべて。個人的には箱根&桜というイメージがあまりなかったのだけれど、これは感心した。今年は宮城野も例年より10日ほど満開が早いせいか観光客が少なく、非常にゆっくりと楽しむことができてラッキーであった。
 都心の桜の名所と大きく違うのは、その素朴さだろう。過剰なデコレーションや企画もなく、桜そのものを楽しむ風情がいい(といってもライトアップはちゃんとやるようだが)。

早川堤の桜1

早川堤の桜2

早川堤の桜3


 もうひとつのヒットは、読書ブログにふさわしく、「箱根ドールハウス美術館」で開催している「歴史に彩られる文学とドールハウス」展である。ディケンズとかトマス・ハーディとかビアトリクス・ポターといった作家の生家や物語のシーンを再現したドールハウスが並び、ドールハウスに特別興味がなくとも惹きつけられる。歴史的に重要なものもあったりして、まだまだ知名度の低い美術館だとは思うけれど、展示物はなかなか凄い。
 ただ、箱とソフトは悪くないのだけれど、運営がいまひとつ。まだ知名度が低いせいか入場客が少なく、そのため従業員も最小限の数でまかなっている印象であり、教育もあまり行き届いていないご様子。対応自体は丁寧だし、真面目にやってくれてはいるのだが、いかんせん接客技術はアマチュア。せっかくの貴重な展示物だから、ここは経営陣が真剣に考えてなんとか盛り返してほしいところである。

ドールハウス4
▲建物の入り口。もとは植物園だったものを改装したらしい。

ドールハウス1
▲ビアトリクス・ポターの暮らした家

ドールハウス2
▲こちらは特に文学関係じゃないけれど、アメリカ初期のスーパーマーケットの様子。ディテールが凄まじい

ドールハウス3
▲トマス・ハーディの家。屋根の茅葺きとかまでしっかり再現。

テーマ:雑記 - ジャンル:本・雑誌


 この一週間ほどでだいたいランキング本も出揃ったようなので、一昨年からやっている各誌ベストテンのランキング比較(ただし海外部門のみ)を今年もやってみる。
 ルールは『ミステリマガジン』の「ミステリが読みたい!」、『週刊文春』の「ミステリベスト10」、宝島社の『このミステリがすごい!』の各ランキング20位までを対象に平均順位を出すという、いたってシンプルなもの。ちなみに講談社の「文庫翻訳ミステリー・ベスト10」と『本格ミステリ・ベスト10』は扱う範囲がそれぞれ文庫のみ、本格のみと限定されているので取扱対象外。
 また、ランキングによって対象となる刊行期間が異なるため(ミステリマガジンのみ10月1日から9月31日、他は11月1日から10月30日)、1つしかランクインしていないものは省き、ふたつのランキングにランクインしているもののみ取り上げている。
 ただ、1つしかランクインしていないものでも、それがむしろランキングの個性ということにもなるので、参考資料としてそちらも並べてある。
 ではランキングどうぞ。

2018年ランキング比較

 昨年、一昨年と同様、今年もまた上位は似たような顔ぶれで、やはりそれほど面白くない結果となってしまった。基本的にはR・D・ウィングフィールの『フロスト始末』と陳浩基『13・67』の一騎打ちの様相で、これにケイト・モートン『湖畔荘』、ビル・ビバリー『東の果て、夜へ』が絡むという構図である(例によってミスマガが対象期間を早めすぎているので、ここだけ『13・67』は入っていないけれど)。

 そのかわり、というわけでもないのだが、下位は思った以上にバラツキが見られ、各紙の個性は上位より下位の作品で見る方が楽しい。
 たとえば『週刊文春』の「ミステリベスト10」は相変わらず知名度や話題作が好物で、大物、ベテランに甘い。権威主義的ともいう。キングやディーヴァーあたりはどんな作品でも必ずランクインするし、ディヴァインやエリス・ピーターズがいつもより落ちる出来なのにしっかりランクインするのも文春っぽい。
 「このミス」はSFから古典まで間口が広いのだけれど、裏を返せば、奇を衒う目立ちたがりの投票が多いともいえる。ただ、こちらが知らない作品やノーマークだった作品がが割と多く入ってくるので参考にはなる。
 「ミスマガ」はランキング云々より、頼むから対象期間を他と合わせてくれとしかいいようがない(笑)。昨年のランキングで上位だった『傷だらけのカミーユ』や『煽動者』、『その雪と血を』あたりが今年に入っていても、やはり不自然極まりない。あと、なぜか「ミスマガ」のランキングは古典が異常に弱いのも特徴である。まあ、早川書房はこの数年クラシックの出版についてはかなり減少しているので、それがそのまま反映されている感じではある。

 ということで検証終了。あとは実際に気になる本を読んで、ランキングの確かさを確認するだけである。個人的には『13・67』は早めに読んでおきたいところだ。

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 二日ほど前に空犬さんのブログ「空犬通信」で「杉本一文 装画の世界/銅版画の世界」が開催されることを知り、初日の今日、六本木ストライプスペースまで出かける。

 杉本一文装画の世界1

 杉本一文といえば、ミステリ者にはいうまでもなく角川文庫の横溝正史のカバー絵で知られている方。横溝正史だけでなく半村良や、あの『狩久全集』なども手がけており、横溝ファンだけでなくミステリ好きにとって決して忘れることのできない絵描きさんではなかろうか。
 ちなみに杉本画伯の展覧会は意外にひんぱんに開催されており、管理人も過去に神保町の東京堂書店で行われた「杉本一文原画展」や山梨の根津記念館であった「イラストレーター杉本一文が描く横溝正史の世界」などでも拝見したことがある。

 絵の魅力については今更管理人が力説するまでもなく、ファンには十分に周知されているところだろう。横溝正史描くおどろおどろしい世界観を見事に再現しており、怖い中にも妖しさや美しさが感じられ、たまらない魅力がある。個人的にはそのエロティックな部分が発揮されているものが好みで(笑)、定番といってもよい『真珠郎』をはじめ、『誘蛾燈』、『白と黒』なんかが実によろしい。

 さて、初日の朝イチということもあるのか、管理人が訪れたときには意外に人が少なかったため、ゆっくりと絵を鑑賞することができたが、何より嬉しかったのは杉本画伯ご本人がいらっしゃったこと。
 人が少ないおかげで画集にサインもしてもらい、先生とも十分弱ぐらいだが差し向かいで話ができて非常にいい記念になった。横溝カバーについてはスピードやスケジュール優先で、それほど中身を読まずに描きとばしたとか(笑)、描き始めると一日二日で仕上げたとか、逆に半村カバーはストーリーや設定が読み込まないと理解できないから大変だったとか、短いながらいろいろと興味深い話が聞けたのは満足である。あちらこちらに出ている話ではあるが、やはり直接聞けたというのが嬉しい。

 杉本一文装画の世界2

 杉本一文装画の世界3

 ということで、会期も短いことですし、お時間があればぜひ皆様も足をお運びください。

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