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 なんとか復調の兆し。土曜に復調したかと思ったら、そこからまた38度に戻り、本日ようやく平熱に戻る。明日から仕事に復帰するが、これでまたぶり返したらどうしよう。

 ミニヨン・G・エバーハートの短編集『スーザン・デアの事件簿』を読む。
 海外ミステリであれば、どんなジャンルも好き嫌いなく楽しめる管理人だが、強いていえばHIBK派とコージーミステリだけは何となく苦手である。ミニヨン・G・エバーハートもHIBK派を代表する作家なので、どんなものかなぁという不安もあったのだが、これがどうして、予想以上の面白さであった。

 スーザン・デアの事件簿

Introducing Susan Dare「スーザン・デア登場」
Spider「蜘蛛」
Easter Devil「イースター島の悪魔」
The Claret Stick「クラレット色の口紅」
The Man Who Was Missing「行方不明の男」
The Calico Dog「キャラコの犬」

 収録作は以上。若い女性推理作家、スザーン・デアが探偵役として活躍するシリーズ短編集である。
 といってもスーザンは元から名探偵というわけではない。最初の事件「スーザン・デア登場」では完全に事件に巻き込まれた関係者の一人である。そこで事件を解決したところ、たまたま遭遇した新聞記者のジム・バーンにその能力を見込まれ、以後はいろいろな人間が事件の相談にやってくるという設定である。

 著者はHIBK派と先ほど書いたが、これは「もっと早く知ってさえいたら……は避けられたのに」という主人公の語りを挿れることで、サスペンスを煽る手法である。
 今となってはさすがに古臭く感じてしまうこの手法だが、確かにM・R・ラインハートやA・K・グリーンの頃ならいざ知らず、エバーハートの時代になると、同じHIBK派とはいえ、やはりお話作りが格段に上手くなっている印象はある。そういえば著者の作品は以前に『死を呼ぶスカーフ』を読んだこともあるが、あれも意外に楽しめた記憶がある。
 本書の各短編でも、そういうお話作りの巧さ、サスペンスの盛り上げ方が随所に光っている。
 たとえば「蜘蛛」で登場するクモザルの使い方、「イースター島の悪魔」での看護婦としての潜入捜査、「クラレット色の口紅」における劇場という閉ざされた空間での殺人&口紅の使い方、「行方不明の男」では下宿先で行方不明になった恋人を探す事件が実は……という風呂敷の広げ方、「キャラコの犬」においては遺産相続者を名乗る二人の男の成否判定という、いやいやどれもなんと魅力的なことか。
 本格という観点でみると、そこまでとんがったところはないが、設定やストーリーテリング、キャラクター作りの巧さは十分合格点だし、トータルでは文句なしに楽しめる短編集といえるだろう。

 ちなみに本書は、訳者の平山雄一氏が個人で興した「ヒラヤマ探偵文庫」という叢書の一冊。基本的には同人あるいは私家版という位置付けであり、一般の書店や大手のネット書店では購入できないので念のため。
↓現在はこちらでのみ購入可能のようです。
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca15/421/

 なお、小説の内容そのものとは関係ないが、レイアウトについては改善の余地があるだろう。版面サイズ、本文の行間・文字間、ノンブル(ページ数)の位置などを修正するだけで、かなり読みやすくなるはず。また、けっこう誤植も確認したが、デザイン上の問題は最悪、好みですむけれど、やはりこちらは頑張っていただきたいところである(拙ブログも人のことはあまり言えないけれど)
 最後に注文をつけてしまったが、海外の埋もれたクラシックミステリを個人で紹介するという試みは実に素晴らしい。今後もこのシリーズは出れば買うつもりなので、ぜひ末長く続けてもらいたいものである。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 論創社の海外ミステリ『死を呼ぶスカーフ』読了。M・R・ラインハートに続くアメリカのHIBK派の女流作家、ミニオン・G・エバハートによる一冊。

 ファッション・モデルとして成功したイーデンは、故郷に住む親友のエイヴェリルから結婚式に招かれる。エイヴェリルの婚約者ジムはエンジニアであり、結婚式の前日には彼の開発した新型エンジンのお披露目も行われるという。ところが当日、その新型エンジンを搭載する飛行機が墜落し、載っていたエイヴェリルの叔父と整備士が死亡する。悲劇的な事故にもかかわらず、エイヴェリルの強い希望で結婚式は予定どおり行われることになったが、今度は結婚式に出席する一行を乗せた飛行機が不時着。外界から隔てられたその地で、さらなる悲劇の幕が開いた……。

 HIBK派はどうも生理的に受けつけない体質だと思っていたのだが、本作は意外に楽しむことができた。というのもやはり本格探偵小説もかくやという大胆な設定によるところが大きい。いわゆる「嵐の山荘」パターンだが、それが偶然ではなく、ある登場人物が犯人を捕まえるための罠として用いるというところがなかなか。
 また、訳者があとがきで解説しているように、本書はハーレクインロマンスばりに恋愛要素が強いが、この手のものを読み慣れていない人間には少し新鮮なところもある。例えばイーデンとエイヴェリルは親友同士だが、実はある男性をめぐって三角関係だった過去があり、それが時を経て再度繰り返されるという意地悪さ。表面は和やかだが、心の内には凄まじい対立心があり、それが徐々に表面化してくるところなどは、下手なホラーより怖い(笑)。初めて会った男女が数秒で恋に落ちるなど、こちらがハーレクインに対して持つイメージどおりの描写もあったりするが、まあ、笑って許せる範囲ではないだろうか。
 積極的にオススメはしないが、ロマンス好きのミステリファンなら。


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