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 それほど大した仕事でもなかったのに、ちょっと無理をしただけで体調を崩す。昨日から急に寒くなったとはいえ、つくづく体力低下を実感。早めの帰宅で就寝も早め。

 読了本はスタンリイ・エリンの『最後の一壜』。エリンの第三短編集にあたるが、日本版ではその後に発表された短編も収録しているお買い得本。
 ところで短編というと、どうしても期待してしまうのがひねりの利いたオチ、あるいは奇妙な味といったところ。対してエリンの短編は、その二つの点を含みつつ、深い味わいで読ませる。本作でも熟成されたワインのごとく、コクのある短編が目白押し。かの傑作短編集『特別料理』ほどの衝撃はないにしろ、十分魅力的な出来といえるだろう。普通なら「最後の一壜」がベストなんだろうが、マイ・フェイバリットは思い切って「内輪」にしておきましょう。

「エゼキエレ・コーエンの犯罪」
「拳銃よりも強い武器」
「127番地の雪どけ」
「古風な女の死」
「12番目の彫像」
「最後の一壜」
「贋金づくり」
「画商の女」
「清算」
「壁のむこう側」
「警官アヴァカディアンの不正」
「天国の片隅で」
「世代の断絶」
「内輪」
「不可解な理由」


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 仕事のバタバタがだんだんひどくなってきている予感。結局、土日も出社するはめになり、月曜も自宅に帰ってきて日記を書こうとすると、目まぐるしすぎて一日の出来事をほとんど思い出せない始末である(歳のせいではないと思いたいが)。

 それでも読了本は一応ある。スタンリイ・エリンの『空白との契約』。エリンといえば新年早々、久々に短編集が出るらしく、その前の未読本消化……というわけでもないのだが何となく。
 エリンは短編で名を馳せた作家だが、長編も悪くない。過去には『第八の地獄』や『闇に踊れ!』といった作品が印象に残っており、MWAの長編賞も受賞しているほどだ。本日読み終えた『空白との契約』もすでに定評のある作品である。

 ジェークはフリーの保険調査員。不審な死因のある案件を再調査して、その成果によって保険会社からマージンを受け取って生計を立てている。目的のためならときには違法な手段も使う、やり手の調査員だった。その彼が今回、目をつけたのは、マイアミで起こった男性の自動車事故。偽装ではないかと疑うジェークは、助手の女性と夫婦になりすまして遺族の隣家へ引っ越し、調査に乗り出してゆく……。

 ノリは軽ハードボイルドながら、これは明らかに直球勝負のハードボイルドである。とにかく主人公ジェークの造型がいい。軽口をたたき、荒っぽい場面もやすやすとこなし、自分の信念を貫き通す。ステロタイプ、古くさくイメージと言うなかれ。その姿は、昨今のハードボイルドにはもはや見られない、かつてのハードボイルドの主人公そのものなのだ。
 そして、その信念を貫くがために、ジェークは得るものもあるが、失うものもまた多い。特に助手の女性との関係、顛末は、ジェークの頑なな生き様に痛烈なしっぺ返しを浴びせるものだ。事件の流れもさることながら、ジェークの孤高の生き方こそが、本作の大きな読みどころといえるだろう。ちょっと『カサブランカ』のほろ苦さを思いだしてしまった。
 残念ながら好評絶版中の一冊だが、古本屋で見つけたら買っておいて損はない。私も最後の読み残し、『バレンタインの遺産』を読まなきゃ。

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