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 最近また体調がすぐれない。基本的には肩こりと胃のもたれだが、肩こりはまだいいけれど(本当はよくないが)、胃は少し心配。まあ、人間ドックではそれほど悪い結果が出ているわけではないのだが、朝起きたときの吐き気は長い間慢性化している。朝イチのコーヒーや遅い時間の夕食、ストレスなど、いろいろと思い当たる節はあるのでそちらを改善することが先決なのだが、どうにも今ペースでの仕事を続けていると長生きはできない気がする。

 梶山季之の『せどり男爵数奇譚』読了。「せどり男爵」というあだ名を持つ主人公が体験した、古書にまつわる不思議な話をまとめた連作集。
 ちなみに「せどり」というのは古書業界の用語で、高値で転売することを目的にして、古書店からめぼしい本を安く買い集めること。要は土地転がしと同じで、別に罪を犯しているわけじゃないけれど、胸を張って言えることでもない。そのため「せどり」という響きにはやや侮蔑的な意味も含まれている。
 そもそも古書蒐集自体にも、本が本来持っている「読書」という要素はかなり希薄である。それでも古書蒐集には本に対する「愛」はあるのだ(ない人もいるでしょうが)。しかし「せどり」にいたっては単なる金銭目的であるから、その意味合いも理解できるというものだろう。まあ、こういうのはどの世界でも同じか。
 前置きが長くなったが、そんな古書業界の話を上質のエンターテインメントにまとめたのが本書である。刊行されてからずいぶん年月が経つので、本書の評価はほぼ固まっており、別段つけ加えることもない。とにかく古書に興味がなくても十分楽しめる内容である。加えて、そこかしこに散りばめられたユーモア、麻雀の役にちなんだタイトル、作者自身をワトソン役にした構成など、常に一般の読者に対するサービス精神を忘れていないところも流石。当時の売れっ子作家の実力の片鱗を伺うことができる。
 正直、もっと早く読んでおけばよかったと自戒した一冊。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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