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 『ラスト・サムライ』と『キル・ビル』を観たせいか、日本を舞台にした海外ミステリを猛烈に読みたくなり、とっておきの『007は二度死ぬ』を引っ張り出す。言うまでもなくイアン・フレミングの書いた「007ジェームズ・ボンド」ものだ。
 殺人ライセンスの証し、コード番号007を持つ英国諜報部員ジェームズ・ボンド。そのボンドが冷戦を背景に、秘密兵器やアクションを武器に巨悪と戦うスパイ・アクションである。さすがに日本では昔ほどの人気はないと思うのだが、本国イギリスではフレミング亡き後も他の作家によって書き継がれているほどの人気シリーズ。
 ただ、映画では完全にヒーローアクションものとして認知されてはいるが、小説は意外に人間ドラマとしての面も強い(もちろんル・カレやグリーンと比べちゃダメですが)。また、ストーリーも映画ほどワンパターンではなく、作品によっては変則的な構成のものもあり、必ずしも敵との対決がクライマックスとは限らないのである。おそらく映画の007しか知らない人は、小説を読んでけっこう驚くのではないだろうか。

 さて、『007は二度死ぬ』である。
 基本的には007自体が荒唐無稽な物語なので、あまり正しい日本描写は期待していなかったが、これは凄すぎ。フレミング自身は日本での旅行体験を元にして執筆しているのだが、記憶が曖昧なのか、それとも英国人が面白がりそうなところをネタとして誇張しているのか、そのねじくれた日本観は『ラスト・サムライ』や『キル・ビル』どころの話ではない。のっけからジャンケンで激突する日英スパイ、日本人に変装してばれないボンド、元ハリウッド女優の海女さん、ボンドに忍者修行を強制する日本のスパイ、開通前の地下鉄ホームにプレハブを建てて事務室にする内閣調査室などなど。ある意味、読みどころが満載で、心がおおらかな人なら堪能できることは間違いない。
 実際、これらボンドの日本体験が本書のほとんどを占めるというアナーキーさで、敵のアジトに忍び込むのはほとんど終盤になってからという始末。おまけにボンドはアジトを壊滅させたのはいいが、自分も記憶喪失になって海女と暮らしながら終わるのである。おいおい、どうすんだ、この続きは?
 シリーズ中でも屈指の怪作と呼べる本書。いったい当時のイギリス人はこれをどう読んだのか。知りたいような知りたくないような(笑)。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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