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 またまたポケミスの名画座シリーズから、ロマン・ノワールの傑作と名高い『男の争い』を読了。
 主人公は五年の服役を終えてパリに舞い戻った男、トニー。親友のジョーたちと宝石強盗をもくろみ、見事に二億五千フランもの宝石を手にしたものの、彼らの犯行を嗅ぎつけたソラ兄弟が横取りを企んでいた。裏切り、暴力、セックス、友情……血を血で洗う抗争の果てに、トニーが得たものは……。

 いやー、ちょっと圧倒されすぎて言葉も出ません。何せこちとらハードボイルドに関してはネオ・ハードボイルドからハマッた口なので、基本的にはチャンドラー寄りの詩情あふれる甘口が好み。しかし、ノワールの本場から届いた一品はまさに超辛口。作者の視点はとにかくクール(冷徹といった方がよいか)で、登場人物のキャラクター造型といい、読者の予想を超越する(決して裏切るではない)展開といい、常に鮮烈な印象を残す。最初の人殺しのシーンといい、元恋人を懲らしめるシーンといい、名場面は数多いが、極めつけはやはりラストか。
 この衝撃はジム・トンプスンを読んだとき以来かもしれない。といってもジム・トンプスンのそれとは異なり、ル・ブルトンのそれはあくまでストレート。何も考えずひたすら肌で読む。そんな表現がふさわしいル・ブルトンの傑作である。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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