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 初詣など。おみくじをひくも末吉。ここ十年ぐらい大吉を引いた記憶がない。凶ですらあったというのに。

 今年二冊目の読了本は小沼丹の『黒いハンカチ』。昨年の刊行時にはちょっとした評判になった、純文学畑の作家によるミステリ短編集である。もともとは井伏鱒二の弟子筋にあたる人で、静謐なユーモアとペーソス溢れる作風が特徴。読売文学賞や平林たい子文学賞なども受賞するなど、質の高さは保証付きということだが、本業が教師ということで著作はあくまで余技。ミステリーに至ってはそのまた余技になるので作品数は多くないが、その分ある種の余裕というものが作品からは感じられる……らしい。以上、解説より(笑)。

「指輪」
「眼鏡」
「黒いハンカチ」
「蛇」
「十二号」
「靴」
「スクェア・ダンス」
「赤い自転車」
「手袋」
「シルク・ハット」
「時計」
「犬」

 いや、名前ぐらいしか知らなかった作者だけに、雑誌やネットでの評判だけを頼りに読んでみたのだが、確かに悪くない。変にギスギスしたところがなく、ミステリを読んだときによく感じる澱んだ空気というのがない。ミステリの表現として適当かどうかわからないが、澄んだイメージ、育ちの良さというものを感じさせる作品集である。その理由のひとつはやはり文体にあるだろうが、探偵役のニシ・アズマ先生を初めとする登場人物の造型や、事件の設定などによるところも大きいだろう。
 ただ、本格として見れば、それほど驚くほどのものはない。ロジックはさほど押し出しておらず、あくまでも雰囲気を楽しむものか。とはいえミステリ以外の作品も読みたくなるぐらい、その独自の味わいは深い。おすすめ。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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