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 最近ちょっと時間に余裕が出てきたので、本日は少し駅前の古書店をまわる。地元の作家やライターの書くエッセイにもたまに載ったりするお店で、こぢんまりした店構えだが、大学街にあるせいか品揃えはなかなか悪くないうえ、値段もかなり良心的。
 しかし、このお店の真の特徴は店主のキャラクターにある。とにかく話好きで、地元の文化人についてのいろんなゴシップ、仕入れ絡みのエピソードなど、行くたびにいろんな話を聞かせてくれるのだ。ときには話を切り上げるのが難しいくらい(笑)。
 本日は高垣眸や少山中峯太郎、海野十三あたりがまとまって積んであったので、早速めぼしいところを3冊とも買ってしまう。

 読了本はイザベル・B・マイヤーズ『殺人者はまだ来ない』。
 よく知られた話だが、かのエラリー・クイーンの『ローマ帽子の謎』と雑誌の懸賞で争い、見事に一位を勝ち取った作品である。しかし、その後の両作家の活躍を見ると、その受賞が当人たちにとって良かったのか悪かったのかはご存じのとおり。

 作品そのものは、本格というよりゴシック・ロマンスの香りが濃厚。もちろんそれは登場人物の設定やストーリーから言えることなのだが、暴論覚悟で言えば、メイン・トリックだってゴシック・ロマンスと断言してよかろう。すでに本格探偵小説が認知されている時代とはいえ、ゴシック・ロマンスの持つある意味普遍的な魅力というものを、作者は捨てきれなかったに違いない。そして、懸賞の結果を見るかぎり、その時点でその狙いは悪くなかったと言えるだろう。

 それから七十年経った今、本書を読んで思ったのは、軽いサスペンスとしてなら意外に楽しく読めたということ。トリック等はさすがに厳しいが、キャラクターが予想以上に立っている。本格探偵小説として読まなければ、そこらのミステリよりはよっぽどましだろう。ましてや当時ならそれなりの評価を得てもおかしくないはず。
 とはいうものの、よっぽどのマニアでないかぎり、改めて本書を読む必然性がないのも事実。ミステリの歴史をきちんと押さえなければ気がすまない人のみ読むべきであろう。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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