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 久々に金曜を代休にして、休みらしい休みをとる。おお、連休じゃ連休じゃ。でも日曜は仕事……。
 しかしながら、とりあえず読書で夜更かしができるというのはいいものである。ま、別に普段でも夜中まで本は読んでいるのだが、疲れているせいか、いつの間にか途中で寝ていることが多いし。

 で、一気に読んだのがアンドリュー・クラヴァンの『妻という名の見知らぬ女』。この人も安定していい作品を送り続けているとは思うのだが、どうもミステリから離れようとしている気がしてならない。キース・ピータースン名義のようなバリバリのハードボイルドでもよい、『真夜中の死線』のようなサスペンスでもよい、単純にミステリを書いてほしいのだが。ところが残念ながら、本書はそういう意味では期待を裏切る方向に行ってしまった。

 主人公キャルは田舎町でクリニックを開いている42歳の精神科医。美しい妻マリー、3人の子供たちと平和で穏やかな日々を過ごしていたが、ある放火事件で犯人の精神鑑定を行ったことにより、その平和な生活に亀裂が生じ始める。

 とまあ、導入部を書くと、女流サスペンス作家が書きそうな内容だが、実際、出来事としてはそれほど大きな話は起こらず、主人公の葛藤や不安が全編を覆っている。実はこういうのが個人的にあまり好きでなく、そのためルース・レンデルやメアリ・ヒギンズ・クラークもそういうタイプであろうと勝手に推測し、今までほとんど読んでいないぐらいなのだ。
 したがって、正直いって、本作もけっこう読み進めるのは辛かった。というか辛い思いをして考えながら読まないといけないタイプの小説なのだ、これは。そしてその辛さが終盤にピークを迎え、主人公の究極の選択という形で示される。ハッキリ言ってクラヴァンは正解らしい正解を読者に与えてはくれないが、この点は読者自らが考えなければならないところだろう。
 ミステリとして読まなければ悪くはない。ただ、クラヴァンはもっとエンターテインメントに向かってもらたいものだが……。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 鮎川哲也氏が亡くなる。また、巨星墜つ、という感じで、今年は非常にミステリ畑の逝去者が多い。なんとも悲しい限りである。
 私が初めて鮎川作品に接したのは角川文庫の『黒いトランク』。当時中学生だった私にはやや退屈な部分もあったが、緻密な構成に本格のお手本を見たような気がし、なにか惹かれるように『ペトロフ事件』や『黒い白鳥』、『憎悪の化石』といったあたりを次々と読んでいった。最近ではすっかり離れてしまっていたが、河出文庫の初期傑作選も買ってあるし、相変わらず過去の名作も復刊されているようなので、また、ぼちぼち読んでみることにしよう。

 読了本はアンドリュー・クラヴァンの『愛しのクレメンタイン』。新しく刊行された叢書、創元コンテンポラリの一冊。
 どうでもいいが創元って新しい叢書を作りすぎではないか(それをいったら早川もそうか)。版型からテーマに至るまで完全に変えてくれるとそれなりによいのだが、結局みんな文庫で、カバーで統一感を出すだけだからどうにも小手先な印象しか受けない。創元ノヴェルズの二の舞にならなければよいが、と老婆心。

 さて、肝心の内容だが、もうビックリ仰天(死語)である。なんせミステリでもなんでもないどころか、女性を主人公にした性の遍歴(これまた死語ですか)なのだ。とてもじゃないが、あのジョン・ウェルズ・シリーズを書いた作家のものとは思えないが、まさにそのシリーズを書いている真っ直中に書かれた作品なのだ。創元コンテンポラリという叢書だから予測できないこともないのだが、それにしても……。
 ストーリーはあってないようなものだ。サマンサ・クレメンタインという詩人の女性が、検事補の夫や精神科医、命の電話にかけてくるGODらとの会話を通じて、自己の生涯や性、思想、哲学などを語るという仕掛け。自由奔放だが繊細な彼女の生き様は、どこか納得できないものをはらみつつ何故か共感もできるという不思議な印象を残す。リー・タロックの『イン・アンド・アウト』やテリィ・サザーンの『キャンディ』を読んだときの読後感と似ているかも。
 しかしながら、アンドリュー・クラヴァンのもうひとつの指向性がわかったという意味では面白いが、個人的には今さらこういう小説を読む気は起こらない。語り口はうまいので読んでいる間はいいのだけど。


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