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 ラフカディオ・ハーン=小泉八雲『怪談』読了。
 私は何を今頃ラフカディオ・ハーンなど読んでいるのか。
 普通は小泉八雲の怪談なんて子供の頃に児童書で読むくらいだろう。主なものは児童書でもだいたい読めるだろうし、読まないまでもお話ぐらいはどこかで聞いたりする機会があるはず。成人してからまともに読むことなど普通はないに決まっている(と勝手に思っているのだが)。研究者や学者はいざ知らず、ホラーが好きだという奴でも、そうそうラフカディオ・ハーンを読んだことのある人にはお目にかかれない。私もまさにその一人だった。
 じゃあなぜこんなものを急に読んだのかといえば、これは最近寝る前に読んでいるアンソロジーの影響なのだ。先々週あたりに読み終えたもので中島河太郎他の編纂による『現代怪談集成(上)』( 立風書房)というのがあったのだが、これの巻頭に小泉八雲の「破約」が載っていた。この印象が強烈だったのだ。小泉八雲ってこんなに凄い怪談を書いた人だったの、というのが率直な感想。いや、目からウロコが落ちるってのはこういうことなんだ。で、たまたま買ってあったちくま文庫の『怪談』を読み始めたというわけである(そう、一応、買っておくぐらいの興味はあったのだ)。

 で、感想だが、「恐怖」という括りで読むのなら、実は「破約」ほど強烈なインパクトのあるものはなかった。しかし、まとめて読んであらためて思ったのは、(手垢がついた表現で恥ずかしいけど)やはりハーンは日本人以上に日本人的な人物だったのだということ。人間の心や自然の持つ不思議な力を、コンパクトながらゆったりと、ときには鮮烈に、そして美しく語ることのできる人はそうそういまい。場面場面がすぐに絵に浮かぶ。そういう魅力がある。「耳なし芳一」や「むじな」「雪おんな」などのメジャー級はもちろん知っていたが、「これもハーン?あれもハーンかよ?」というのがけっこう多く、なかなか勉強にもなりました。今さらながらラフカディオ・ハーンがいかに日本に根付いているのかを再確認した次第。お恥ずかしい。
 なお、本書は平易な現代語訳がなされており、読みやすいことは読みやすいが、少々印象が軽くなるのは残念。多少は読みにくくても旧仮名遣いの方が雰囲気は出るだろうに。

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌



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