Posted in "海外作家 エーコ, ウンベルト"
- Category: 海外作家 エーコ, ウンベルト 04 12, 2002
- ウンベルト・エーコ『前日島』(文藝春秋)
- ミステリファンにとってのエーコといえば、やはり『薔薇の名前』だ。今回読んだ『前日島』はそのエーコが書いた漂流譚。といってもエーコのことだから、そんな一筋縄でいくような物語ではない。漂流そのものに関わる部分より、脱線の方がはるかに多い。というよりそもそも脱線の方がメインなのである。読者はその脱線の部分を自分なりに紡ぎ、エーコの挑発に応えなければならないのだ。 時は1643年。島の入り江に浮かぶ船に漂着...