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 タイトルがひどいなぁと思いつつリチャード・S・プラザーの『墓地の謎を追え』 を読む。ロサンゼルスで私立探偵を営むシェル・スコット・シリーズからの一冊。
 論創海外ミステリからは既に同シリーズの『ハリウッドで二度吊せ!』が出ているが、基本的にはほぼ同様の代物で、アクションありお色気ありのサービス精神に富んだ典型的通俗B級軽ハードボイルドである。

 こんな話。 シェル・スコットの事務所に若い女が訪ねてきた。失踪した兄ダニーの捜索依頼だ。さっそく調査を始めたスコットは、ダニーが麻薬に手を染めていたことを突き止めるが、同時にダニーの仲間も姿を消していたことを知る。やがて失踪の秘密が高級葬儀場の墓地にあることにたどり着くが、その前に現れたのは屈強なギャングと目を見はるほどのいい女だった……。

 墓地の謎を追え

 良くも悪くも主人公シェル・スコットのキャラクターで読ませるストーリー。身長185cm、体重95kgのボディに短めの銀髪、女には弱いが腕っ節はそれなりに強く、減らず口もお手の物もの。
 もういかにも典型的な安手のハードボイルドの主人公であり、読者はスコットがやらかす騒動をただ笑って読んでいけばよい。そこにはチャンドラーあたりの深遠さはなく、読者への徹底したサービスに務める潔さだけがあって、正直それがすべて。
 だから、本書を読んでトリックがしょぼいとか、登場人物の造型がなっとらんとか、ストーリーが薄いとか言ってはいけない。そもそもそういうものを望むような本ではないのだ。むしろ登場する金髪姉ちゃんはもうすこしセクシーでないと困るとか、人の死に方が足りないとか、そういうところにこそ注文をこそつけるべきである。
 ただし、本書の場合はそういう注文をきちんとクリアしており、このジャンルにおいてはよくできた一冊といえるだろう。麻薬の禁断症状などの知識も満たせるプラスαもあり。

 ただ、『ハリウッドで二度吊せ!』の感想でも書いたが、どう考えてもハードカバーで読むような内容ではない(笑)。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 リチャード・S・プラザーの『ハリウッドで二度吊せ!』を読む。
 かわいい女の子を自宅に連れ込んで、いいムードで食事の準備に入っていた私立探偵シェル・スコット。ところがそこへ、ハリウッドで有名な芸能誌の発行者ウェイヴァリーから仕事の依頼が入る。だがシェルがウェイヴァリーのオフィスへ行くと、彼は激怒したまま副社長パイクの家へ向かったと知らされる。さらにパイクの家へ向かったシェルを待っていたのは、夥しい数の警察と、ギャングの一味だった……。

 典型的なB級ハードボイルド。勇ましく口の減らない私立探偵を主人公に、アクションとお色気とユーモアで味つけし、束の間の息抜きを与えるお手軽な娯楽作品である。謎も適度には入っているが、論理で解決するようなことはもちろんなく、主人公の腕と口が頼り。
 加えて本作はハリウッドを舞台にしているせいか、アクションもお色気もやや過剰であり、同じハードボイルドとはいっても、チャンドラーやハメット、ロスマクとはかなりの隔たりがあるのは致し方ないところ。
 しかし、だからといって切り捨てるのもちょっともったいない。この勢いに任せた作者のサービス精神をこそ汲んであげるべきで、とりわけラストでシェル・スコットが仕掛ける作戦は馬鹿馬鹿しいながらも楽しめる。主人公のシェル・スコットもなかなかキャラクターとしては面白いし、もう少し翻訳されてもいい作家ではないだろうか。
 まあ必読とは口が裂けても言いませんが(笑)。

 ところで、今でこそ「論創海外ミステリー」の方向性もクラシック本格系に定まりつつあるが、刊行当初は何でもありで、本書のようなB級ハードボイルドも少なくなかった。世間の声では圧倒的に本格を望む声が多いようだが、個人的にはこういう作品ももっと紹介してもらいたいものだ。
 ただ、元々は読み捨てのペイパーバックだから、それを2千円前後のハードカバーで出すのはいかがなものかという気持ちはある。値段もあるけれど、この内容でハードカバーはないよなぁ。いっそのこと、本格系はそのまま論創海外ミステリーとしてこのままハードカバーで出し、ハードボイルドや犯罪小説といったパルプマガジン系は、文庫や新書などのよりチープな形にして別シリーズにするというのはどうだろう?

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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