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 ジョン・コリアの『予期せぬ結末1 ミッドナイト・ブルー』を読む。扶桑社から新たにスタートした平成の異色作家短篇集的なシリーズ「予期せぬ結末」。その記念すべき一巻目を託されたのがジョン・コリアである。まずは収録作。

The Chaser「またのお越しを」
Midnight Blue「ミッドナイト・ブルー」
Dog's Dog「黒い犬」
Insincerity「不信」
Think No Evil「よからぬ閃き」
Great Possibilities「大いなる可能性」
Not Far Away, Not Long Ago「つい先ほど、すぐそばで」
A Matter of Taste「完全犯罪」
Gables Mystery「ボタンの謎」
Mary「メアリー」
Sleeping Beauty「眠れる美女」
A Word to The Wise「多言無用」
The Frog Prince「蛙のプリンス」
Squirrels Have Bright Eyes「木鼠の目は輝く」
Hell Hath No Fury「恋人たちの夜」
Night, Youth, Paris and The Moon「夜、青春、パリそして月」

 予期せぬ結末1ミッドナイト・ブルー

 帯の謳い文句で「燦めくアイディア。巧妙なプロット。そして予期せぬ結末」とあるとおり、基本的には好短編集。まあ、ジョン・コリアの作品だからつまらないわけがない。誰が読んでも楽しめる一冊ではある。
 これは巧いなと思ったのが、事実を書いてしまうのではなく読者にラストを委ねるままにしておくテクニック。よくある手ではあるが、コリアの場合、思い切りがいいというか。例えば冒頭の「またのお越しを」は、よく作家としてあそこで書くのを止められるなと、変なところで感心してしまった。
 
 ただ、いわゆる異色作家のなかでもジョン・コリアはもう少しブラックなイメージがあったのだが、本書においてはけっこう軽めというか、全体にさっぱりした印象である。
 また、「予期せぬ結末」というシリーズながら、意外に予想できる話が多く(これはこちらがミステリ的にすれたせいもあるんだろうけど)、シリーズのトップバッターとしては気持ち弱い感じなのが気になった。
 とはいえ、これでも普通の作家に比べれば十分ひねているので念のため。バランスを考えると異色作家の入門編としておすすめしたい。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 ナツメグの味

 ジョン・コリアの『ナツメグの味』を読む。ジョン・コリアといえばいわゆる異色作家に分類される作家であり、リニューアルした早川書房の異色作家短編集『炎のなかの絵』でも、その魅力にとりつかれた人は多いはず。
 ただ、コリアの作品は好き嫌いが出るという話も聞く。他の異色作家とコリアを分ける特徴としては、ファンタジー色+ブラックな笑いであるため、後味の悪さを伴うことが多いのも確か。嫌われる原因はその辺りだろう。しかしながら多少の毒を消化するのは読者の務めであろうし、これぐらいでコリアを避けるのはもったいない話だ。

 本書は、そんなコリアの作品をまとめた充実の一冊であるわけだが、今回ちょっと面白いなと思ったのは、妙なオフビート感を備えた作品がいくつかあることだった。
 奇妙な味の作品というのは、だいたいが筋を予測しにくいものだが、それでも同タイプの作品を読むと、ある程度は先が見えてしまうことも少なくない。だがコリアの場合、物語の展開がまったく予想外に転ぶことがあり、そういう作品はオチの出来にかかわらず、なかなか読み応えがあった。
 例えば表題作の「ナツメグの味」にしてもリードの言動が怪しくなるところまでは予想できるのだが、最後の2ページの流れはなかなか読みにくい。「特別配達」は比較的ラストを予測しやすいものの、その過程はまさに奇想と呼ぶに相応しい。「宵待草」「悪魔に憑かれたアンジェラ」はそのオチそのものがシュールである。
 派手な仕掛けは他の作家に譲るとして、コリアならではのひねくれたジョークを堪能したい。そんな一冊である。

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