ちょくちょくおじゃましている
空犬さんのブログで知ったのだが、本日から池袋の東武百貨店で
「甦る江戸川乱歩の世界展」というものが始まったらしい。ついこの前に横浜で「大乱歩展」があったばかりだし、同じ池袋の東武百貨店でも「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」というのが何年か前にあったよなと思ったが、どうやら乱歩の資料や蔵書も公開されるけれど、同時に乱歩作品にインスパイアされた現代のアーティストの作品展示が中心のようである。ううむ、これはやっぱり見ておくしかあるまい。
期間は8月4日までということなので、御用とお急ぎでないかたはぜひどうぞ。
しかし、乱歩のネームバリューや存在感はやはり別格だ。ミステリ作家、いや小説家全般をとっても、ここまで頻繁に展示会やイベントが行われる作家はそうそういない。松本清張や横溝正史クラスでも、この手の催し物の回数では、乱歩の足下にも及ばないものなぁ。
さて、本日の読了本はエドワード・D・ホックの短編集『夜の冒険』。ハヤカワ文庫の<現代短篇の名手たち>の一冊である。
ホックは短編専門作家というだけでなく、怪盗ニックやサム・ホーソーン、レオポルド警部、サイモン・アークなど数々のシリーズキャラクターを創りあげたことでも有名だが、本書はその有名キャラクターが一切登場しないノンシリーズ短編の傑作集。1955~1979年に書かれたものの中からホック自身が選んだベスト集成となる。
それだけに収録作は粒揃いで、満足度も高い。シリーズ物もキャラクターの魅力とかはあるけれど、作品の質やレベルということであれば、ノンシリーズの方がアベレージでは上だろう。ホック流の“奇妙な味”やダークサイドを味わえる作品も多く、シリーズものでの束縛から放たれ、想像力の翼を自由に羽ばたかせる短篇職人の姿がそこにある。おすすめ。

Inspector Fleming's Last Case「フレミング警部最後の事件」
The Man Who Was Everywhere「どこでも見かける男」
The Passionate Phantom「私が知らない女」
The Night People「夜の冒険」
Festival in Black(The Saint「影の映画祭」
I'd Know You Anywhere「くされ縁」
The Way of Justice「正義の裁き」
The Empty Zoo「空っぽの動物園」
Ring the Bell Slowly「静かに鐘の鳴る谷」
Stop at Nothing「やめられないこと」
Another War「もうひとつの戦争」
The Impossible "Impossible Crime" 「不可能な“不可能犯罪”」
The Way Out「出口」
The Man at the Top「大物中の大物」
Burial Monuments Three「家族の墓」
The Scorpion Girl「サソリ使いの娘」
The Price of Wisdom「知恵の値」
Second Chance「二度目のチャンス」
Three Weeks in a Spanish Town「スペインの町で三週間」
The Rattlesnake Man「ガラガラヘビの男」