Posted in "国内作家 新章文子"
- Category: 国内作家 新章文子 11 17, 2009
- 新章文子『バック・ミラー』(桃源社)
- 新章文子の『バック・ミラー』を読む。桃源社から1960年に刊行された「書き下し推理小説全集・第二期」の一冊である。著者の新章文子は、今ではあまり読まれない作家だろうが、『危険な関係』で第5回江戸川乱歩賞を受賞しており、心理描写やサスペンスには定評があった作家だ。 呉服を商う京都の〈えり紅〉に務める青地有美。彼女は入社一年目ながら、自社の広報誌編集に抜擢され、短歌の掲載許可を求めるために女流歌人の河野...
- Category: 国内作家 新章文子 02 16, 2008
- 新章文子『女の顔』(講談社文庫)
- 『危険な関係』に続いて新章文子をもういっちょ。『女の顔』読了。 目を見張るほどの美貌の持ち主だが、演技の才能には欠ける女優、夏川薔子。婚約者でもある新進監督のもとで新作の撮影を目前にしていたが、そのプレッシャーに耐えられず、ついには誰にも告げずに京都へ旅に出てしまう。やがてその地で医学生と関係を持った薔子。だが、東京に戻った彼女を待っていたのは母の事故死であった。しかし、その死には不審な点があり...
- Category: 国内作家 新章文子 02 13, 2008
- 新章文子『危険な関係』(講談社文庫)
- 第五回(昭和三十四年)の江戸川乱歩賞受賞作、新章文子の『危険な関係』を読んでみた。 新章文子は当時としては珍しい女流ミステリ作家である。また、ミステリ以前に童話の著書などもあることから、何となく仁木悦子を連想させる(ちなみに仁木悦子はその二年前に乱歩賞を受賞)。だが仁木悦子のカラッとした明るい作風とはまったく異なり、本日読んだ新章文子のそれは、実に日本的な湿っぽさを含んだものであった。 東京で...