風邪の症状がやや落ち着いてきた。
読了本はリンダ・キルトの『怖るべき天才児』。ちょうどその月のミステリマガジンに書評が載っており、まずまず褒めていたので安心したのだが、実は最初は著者についての予備知識がまったくない状態で購入したのだ。というのも購入動機が、カバー絵と挿絵をミヒャエル・ゾーヴァが描いていたからである。
さて肝心の内容はというと、嘘をつくと口からガマガエルをはき出す少女、とてつもなく普通すぎる男の子、軽くていつも浮かばないように気をつけている少年などなど、ちょっと普通でない人生を送った子供たちをテーマにした連作短編集であった。
大人に対する著者の眼はなかなか皮肉に満ちている。狙わんとしているところはわかるし、設定がとにかく破天荒で面白そうなのだが、実際に読んでみるともうひとつ笑えない。ブラックユーモアとも何か違うし、もちろん純粋なコメディとも違うし、強いて言えば寓話に近いか。語り口もそれほどユーモラスでもなし、なんだか作者の底意地の悪さを感じるのは気のせいだろうか? ミステリマガジンの書評ほどには面白く感じられず残念。