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 ロバート・トゥーイの『物しか書けなかった物書き』を読む。
 著者のロバート・トゥーイはひと頃評判になったジャック・リッチーとかなり共通項のある作家だ。もっぱら短編を専門に発表し続け、活躍時期もほぼ同時代。短編作家にありがちな悲劇として、まとまった著書がほとんどないことまで似ている。
 作風も似ているといえば似ているか。短編専門とはいっても昨今流行りの異色作家系というわけではなく、二人ともあくまでミステリの範疇にとどまり、クライムノベルを書き続けた。ただ、リッチーはオチを鋭く効かせた作品が多いのに対し、トゥーイは捻りを加えたものが多くなかなか変則的である。法月綸太郎氏は解説で野球のナックルボールに例えているが、言い得て妙。したがって落としどころがなかなか読めないという点では、異色作家に近いものはあるかもしれない。しかし、それはたぶんSFやホラー方面などからも幅広くネタを扱うせいであって、追求しているところは、純粋にエンターテインメントでありミステリだという気がする。
 気に入った作品は多いが、あえて一作を選ぶなら何といっても「おきまりの捜査」。変死事件の通報を受けてかけつける警官が体験する不条理な世界、そして悶絶のラスト。
 次点は「そこは空気も澄んで」。ギャング志願の若者とギャングのボス、二人の仲介をした若者の叔父。この三人がかわす数十分程度の会話に、ここまで人生を詰め込めるとは。
 あとは「階段はこわい」「拳銃つかい」「支払い期日が過ぎて」「八百長」「オーハイで朝食を」あたり。表題作の「物しか書けなかった物書き」は読めすぎるというか、トゥーイにしては型に嵌りすぎていて、個人的にはそれほど。
 しかしまあアベレージは高いし、短編集好きにはもってこいの一冊であることは確か。おすすめ。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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