Posted in "国内作家 大下宇陀児"
- Category: 国内作家 大下宇陀児 04 20, 2022
- 大下宇陀児『亡命客事件』(湘南探偵倶楽部)
- 大下宇陀児の短篇「亡命客事件」を読む。湘南探偵倶楽部さんの一冊。 小さな温泉町で春から夏にかけて湯治をしていた“私”は、支那から亡命していた洪さんと知り合いになるが、あるとき列車で出かけたまま行方不明となる。 その後、渓谷から首のない死体が発見された、所持品から洪さんだと推測された。実は洪さんは支那の反対派から賞金をかけられており、刺客がその証拠に首を持っていったものと思われた。 しかし、友人の弁...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 02 06, 2022
- 大下宇陀児『幽霊紳士 或いは、恐怖の齒型 室蘭版』(東都我刊我書房)
- 大下宇陀児の『幽霊紳士 或いは、恐怖の齒型 室蘭版』を読む。副題が訳ありっぽいけれど、元々は宇陀児の『恐怖の齒型』という長篇があり、それをベースに室蘭毎日新聞に連載したものらしい。登場人物や序盤こそ変えてあるが、徐々に『恐怖の齒型』になっていくようだ。また、一部、連載欠け分があって、そこも元祖『恐怖の齒型』から補っているとのこと。 こんな本は大下宇陀児研究者でもないかぎり読む必要はないところだが、...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 12 16, 2021
- 大下宇陀児『決闘街』(湘南探偵倶楽部)
- 湘南探偵倶楽部さん復刻の短篇「決闘街」を読む。こんな話。 登山スキーに出かけた三人の学生たち。表面的には友人だが、正反対の性格の違いから野々宮と田代はお互いをライバル視しており、野々宮と吉本はある女性をめぐって三角関係にあった。 そんな密かな緊張状態のなか、野々宮は雪山の中腹でカンジキが脱げ、動けなくなるという事態が発生。その瞬間、田代と吉本に殺意が芽生え、二人の手によって野々宮は崖下へ落下させ...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 11 08, 2021
- 大下宇陀児『爪』(湘南探偵倶楽部)
- ヘビーな一冊を読んだので、次はさっぱりと小冊子で。ものは湘南探偵倶楽部さん復刻の短篇、大下宇陀児の『爪』。 作家の沖野はピアニストの住谷良子に想いを寄せていたが、内気な性格からなかなか告白までには至らなかった。そのうちに友人として紹介した理学博士の竹中が、いつの間にか沖野を出し抜いて彼女と交際していることを知る。嫉妬を募らせる沖野だったが、ある日、竹中の研究室で破傷風菌を扱っていること、さらに...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 09 07, 2021
- 大下宇陀児『斧とモルフィネ』(湘南探偵倶楽部)
- いま読んでいる本がなかなかのボリュームと密度のため、いったん休憩して、軽いものをつまむ。ものは湘南探偵倶楽部さんから届いたばかりの大下宇陀児の短編『斧とモルフィネ』。 海岸沿いにあるS町で殺人事件が起こる。占部という富豪の別荘で、主人が斧で頭を割られたのだ。しかし犯人は見つからず、それから三年が過ぎたある日のこと。当時、事件を通報した建築技師の辻村青年は、占部の未亡人と偶然再会する。当時から未...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 06 18, 2021
- 大下宇陀児『別荘の殺人』(湘南探偵倶楽部)
- 仕事と体調のせいもあるのだが、いまひとつ読書中の長編作に乗ることができないので、大下宇陀児の短篇で気分転換を図る。ものは湘南探偵倶楽部さん復刻の「別荘の殺人」。 語り手が新聞記者をやっていた頃の事件を語るという体の一席。記者はある日、何かと黒い噂の絶えない江並男爵の取材へ向かう。江並男爵はある村の断崖に奇怪な別荘を作り、そこに滞在しているという。 記者は別荘に向かう途中でその別荘を作ったという...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 06 13, 2021
- 大下宇陀児『夜光魔人』(湘南探偵倶楽部)
- 大下宇陀児の『夜光魔人』を読む。かつて小学館が発行していた『中学生の友』。その昭和三十一年七月号の付録としてついていた小冊子を湘南探偵倶楽部さんが復刻したものだ。 ちなみにこの『中学生の友』の付録小冊子だが、「中学生新書」というシリーズ名、しかも通し番号までついていて、マニアの収集癖を刺激すること夥しい(笑)。ネットでザクっと調べたところ、乱歩の『幽霊塔』や黒沼健の『ラドンの誕生』、『遊星人現わ...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 03 30, 2021
- 大下宇陀児『電気殺人』(湘南探偵倶楽部)
- 大下宇陀児の短編「電気殺人」を読む。湘南探偵倶楽部さんの復刻本。 カーボランダム工場で働く職工の柿田は、カーボタンダム製造の過程において人造ダイヤ製造の可能性に思いつく。しかし、上司の機械技師・黒江は、その手柄を横取りしようと考え、施設の修理に乗じて柿田を感電死させようと企てる。 とても大雑把なタイトルではあるが(苦笑)、中身は感電を利用した完全犯罪を目論むという倒叙ミステリであった。局面に応...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 06 20, 2020
- 大下宇陀児『金貨を咥えた女』(湘南探偵倶楽部)
- 今週は公私共々いろいろあって、あまり読書が進まず。例によって湘南探偵倶楽部さんが復刻した短編の小冊子で御茶を濁す。ものは大下宇陀児の『金貨を咥えた女』。 菱山徳三は神田のビリヤード場の二階に事務所兼住居を構える売れない私立探偵だ。といっても依頼を受けて調査をするばかりではなく、そこで知った事実をネタに強請りなどもやってしまう、最低の男である。 そんな菱山が街を歩いていると、突然、派手な格好をし...
- Category: 国内作家 大下宇陀児 02 22, 2020
- 大下宇陀児『盲地獄』(湘南探偵倶楽部)
- 仕事が一区切りついたこともあって本日は渋谷へ。お目当は東急東横店で開催されている渋谷大古本市だが、東急東横店が来月閉店ということもあって、これが最後の渋谷大古本市。今後、場所や形を変えて開催されるかどうかは知らないのだが、とりあえずはお別れも兼ねて古本漁りである。 買ったものはF・デーヴィス『世界推理小説全集67 閉ざされぬ墓場』、デイヴィッド・ドッジ『世界推理小説全集47 黒い羊の毛をきれ』、結城昌...