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 湘南探偵倶楽部さん復刻の短篇「決闘街」を読む。こんな話。

 登山スキーに出かけた三人の学生たち。表面的には友人だが、正反対の性格の違いから野々宮と田代はお互いをライバル視しており、野々宮と吉本はある女性をめぐって三角関係にあった。
 そんな密かな緊張状態のなか、野々宮は雪山の中腹でカンジキが脱げ、動けなくなるという事態が発生。その瞬間、田代と吉本に殺意が芽生え、二人の手によって野々宮は崖下へ落下させられてしまう。 
 田代と吉本は事故として報告したが、やがて二人は真相を知るお互いの存在が邪魔になり……という一席。

 決闘街

 殺人者となった主人公たちは犯行が暴かれることを怖れ、悶々と悩むあたりがいかにも大下宇陀児らしい心理描写で読ませる。
 ストーリーも悪くない。物語は上の展開からタイトルどおりの「決闘」に雪崩れ込んでいくのだが、そこで一捻り入れて意外性も持たせるなど、単なる心理サスペンスで終わらせないところもよい。
 加えて真相を明らかにせず、リドルストーリー的にまとめているのも気が利いている。ただ、リドルストーリーであることを強調したかったのか、最後の説明が過剰すぎて、あまりリドルストーリーになっていないのがちょっと残念。とはいえ全体としてはまずまず満足のいく一作であった。

 なお、一箇所、気になるところがあったが、勘違いの可能性もあるので、ここでは伏せておく。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 ヘビーな一冊を読んだので、次はさっぱりと小冊子で。ものは湘南探偵倶楽部さん復刻の短篇、大下宇陀児の『爪』。

 爪

 作家の沖野はピアニストの住谷良子に想いを寄せていたが、内気な性格からなかなか告白までには至らなかった。そのうちに友人として紹介した理学博士の竹中が、いつの間にか沖野を出し抜いて彼女と交際していることを知る。嫉妬を募らせる沖野だったが、ある日、竹中の研究室で破傷風菌を扱っていること、さらには戸締まりをしていないと飼い猫が勝手に研究室へ入ってしまうことを知り、殺人計画を思いつく。竹中が破傷風菌のついた猫の爪で引っかかれたように装い、殺してしまおうというのだ。完全犯罪は成功したかに思えたが……。

 きれいにまとまった倒叙もので、見どころは犯人の沖野と探偵役の弁護士のラストでの対決。完全犯罪を為しえたかに見えた沖野だが、ジリジリと弁護士に追い詰められる。沖野の焦燥ぶりと弁護士の冷静さがいい対比で描かれ、ちょっと乱歩の「心理試験」を思い出した。
 犯人のトリックが弱い点は目をつむるとして、それを逆手にとる弁護士の逆トリックが悪くない。

 宇陀児の作品は倒叙から犯罪小説まで、けっこう犯人から見た短篇が多いように思うが、そういう作品を集めた宇陀児傑作選があってもいいかなと思った次第。
 なお、本作は国書刊行会の〈探偵くらぶ〉にある『烙印』でも読むことができる。管理人も過去に二回ほど読んでいるはずだが、すっかり中身を忘れていた(笑)。


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 いま読んでいる本がなかなかのボリュームと密度のため、いったん休憩して、軽いものをつまむ。ものは湘南探偵倶楽部さんから届いたばかりの大下宇陀児の短編『斧とモルフィネ』。

 斧とモルフィネ

 海岸沿いにあるS町で殺人事件が起こる。占部という富豪の別荘で、主人が斧で頭を割られたのだ。しかし犯人は見つからず、それから三年が過ぎたある日のこと。当時、事件を通報した建築技師の辻村青年は、占部の未亡人と偶然再会する。当時から未亡人に心惹かれていた辻村だが、当時のことを話すうちに……。

 これは悪くない。互いに惹かれ合いながら、お互いに相手を殺人で告発するという心理サスペンスで、とりあえずのどんでん返しを披露したところでも十分なのだが、ラストにもう一枚、精神的などんでん返しを重ねてくるのが憎い。それによって物語の奥行きがぐっと深まってきて、なんとも言えない余韻を残す。

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 仕事と体調のせいもあるのだが、いまひとつ読書中の長編作に乗ることができないので、大下宇陀児の短篇で気分転換を図る。ものは湘南探偵倶楽部さん復刻の「別荘の殺人」。

 別荘の殺人

 語り手が新聞記者をやっていた頃の事件を語るという体の一席。記者はある日、何かと黒い噂の絶えない江並男爵の取材へ向かう。江並男爵はある村の断崖に奇怪な別荘を作り、そこに滞在しているという。
 記者は別荘に向かう途中でその別荘を作ったという建築技師と知り合う。すると技師は、男爵が海底から金塊を掘り出す研究を行なっていると話し、その研究を一緒に行っている科学者を紹介する。だが、その科学者は実は男爵とただならぬ因縁を持ち、やがてそれを実証するかのように男爵が変死を遂げる……。

 短い話なので、実はこのあらすじ紹介だけで全体のストーリーの3/4ぐらいはある(苦笑)。長篇であれば、それこそ導入部ぐらいのイメージだが、事件発生直後に謎解きも始まり、あっという間の事件解決となるのが残念。
 というのも奇怪な別荘の設定や登場人物の怪しさなど、短篇にしておくのがもったいないほどの導入なのである。男爵殺害のトリックは時代を考えるとこんなものだろうが、トリックそのものは今ひとつでも、そのトリックを用いるベースとなる発想が秀逸。後の某大物作家の代表作にも通じるところがあって、大下宇陀児がそれを膨らませなかったことがとにかくもったいない一作である。

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 大下宇陀児の『夜光魔人』を読む。かつて小学館が発行していた『中学生の友』。その昭和三十一年七月号の付録としてついていた小冊子を湘南探偵倶楽部さんが復刻したものだ。
 ちなみにこの『中学生の友』の付録小冊子だが、「中学生新書」というシリーズ名、しかも通し番号までついていて、マニアの収集癖を刺激すること夥しい(笑)。ネットでザクっと調べたところ、乱歩の『幽霊塔』や黒沼健の『ラドンの誕生』、『遊星人現わる』などは確認できたが、全ラインナップはどうなっているんだろう?

 夜光魔人

 それはともかく。『夜光魔人』だがこんな話。
 いま、世間を騒がせている「夜光魔人」。美術品や宝石を狙う盗賊だが、暗がりで怪しく光るその姿が人々を恐怖に陥れている。中学生の藤村信吉少年も気にはなっていたが、三人組の不良少年とトラブったり、トラックに轢かれそうになった少女を救ったりと、「夜光魔人」どころではない。ところが三人組の不良少年のリーダー・今村が夜光魔人と関係あるのではないかと考え、信吉少年は新聞記者をしている兄の信太郎に相談しようとするが……。

 当時の子供向け探偵小説の王道ともいえる怪人もの、しかもボリュームも中編ぐらいはあるので、けっこう期待したのだが、ううむ、これはちょっと残念な感じである。
 せっかく「夜光魔人」という面白そうなキャラクターを作りながら、事件がなんとも小粒。というかストーリーがちょっと不可解で、主人公、夜光魔人ともにほぼ見せ場がないのである。そもそも主人公と夜光魔人の対決シーンすらないのはいかがなものか。事件解決も主人公とは関係ないところで進んでしまい、これには当時の子供たちもちょっと拍子抜けだったのではないだろうか。
 まあ著者の狙いはわからないではない。学習誌での掲載ということもあるし、まだ戦後を引きずる社会事情を取り込みつつ、おそらくはヒューマン・ドラマに仕上げたかったのだろう。登場する子供たちの設定や、ラストの決着のつけ方もそれを反映している。
 ただ、そちらを意識しすぎたか、主軸が信吉少年と子供たちのドラマに流れすぎて、いまひとつカタルシスに欠けた一作となってしまったようだ。

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 大下宇陀児の短編「電気殺人」を読む。湘南探偵倶楽部さんの復刻本。
 カーボランダム工場で働く職工の柿田は、カーボタンダム製造の過程において人造ダイヤ製造の可能性に思いつく。しかし、上司の機械技師・黒江は、その手柄を横取りしようと考え、施設の修理に乗じて柿田を感電死させようと企てる。

 電気殺人

 とても大雑把なタイトルではあるが(苦笑)、中身は感電を利用した完全犯罪を目論むという倒叙ミステリであった。局面に応じて一喜一憂する犯人の心理状態などが面白く、そういうサスペンスの盛り上げにおいてはなかなか読ませるし、読み物としては悪くない。
 ただ、犯行が失敗する原因に犯人が思い至らなかった点が、犯人の職業を考慮するとちょいと弱いかな。

 ちなみに、カーボランダム製造の過程において人造ダイヤができる云々という説明があるのだけれど、これ本来は逆ではないか。もともと人造ダイヤを作ろうとして、カーボランダムが発見されたと思ったが。いろいろ理科学的情報において気になるところのある一冊である。

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 今週は公私共々いろいろあって、あまり読書が進まず。例によって湘南探偵倶楽部さんが復刻した短編の小冊子で御茶を濁す。ものは大下宇陀児の『金貨を咥えた女』。

 金貨を咥えた女

 菱山徳三は神田のビリヤード場の二階に事務所兼住居を構える売れない私立探偵だ。といっても依頼を受けて調査をするばかりではなく、そこで知った事実をネタに強請りなどもやってしまう、最低の男である。
 そんな菱山が街を歩いていると、突然、派手な格好をした若い女性に呼び止められた。彼女は菱山が自分を捨てた岡村だといって責めたて、菱山が人違いだといっても聞き入れようとしない。菱山はついに面倒になり、逆に彼女の話に乗ってやることにして、二人で待合へしけこむことにしたのだが……。

 狐と狸ならぬ、悪女とヤクザ者の化かしあい。女の狙いが実は菱山の事務所の壁に隠された金貨であり、二人の対決の行方が最初の見ものである。そして、その対決は一応ひとつの決着を見るものの、勝利者となったほうも実は……というわけで、ラストにもうひと捻りあるのは予想どおり。
 とはいえ金貨を軸にした後半の組み立てはなかなか巧妙で、皮肉の利いたオチも悪くない。初出時の原題は「黄金魔」だったようだが、このタイトルに変えたのも、そういう意味で正解だろう(ネタバレ気味だけど)。

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 仕事が一区切りついたこともあって本日は渋谷へ。お目当は東急東横店で開催されている渋谷大古本市だが、東急東横店が来月閉店ということもあって、これが最後の渋谷大古本市。今後、場所や形を変えて開催されるかどうかは知らないのだが、とりあえずはお別れも兼ねて古本漁りである。
 買ったものはF・デーヴィス『世界推理小説全集67 閉ざされぬ墓場』、デイヴィッド・ドッジ『世界推理小説全集47 黒い羊の毛をきれ』、結城昌治『風変わりな夜』、『殺意の軌跡』、『遠い旋律』、『新本格推理小説全集6 公園には誰もいない』、陳舜臣『新本格推理小説全集2 影は崩れた』、多岐川恭『新本格推理小説全集7 宿命と雷雨』。どれも300〜500円というところで(多岐川恭だけ少し高かったが)、ネットをみるともう少し安く買えるものもあるんだけれど、まあ餞別がわりで。こういう場で買うのが楽しいというのもあるしね。


 読了本は湘南探偵倶楽部さんが発行する復刻版からの一冊。大下宇陀児の短編『盲地獄』。

 盲地獄

 伊戸林太郎は薬局を営み、“おきち”という恋女房ともいっしょになり、特に不満のない生活を送る若者だった。ところが二十五歳のとき、病によって全盲になってしまう。当然、薬局は続けられず、代わりに“おきち”が仕出し料理の店を出すことになり、当初はそれなりにうまくいっていた。
 だが、いつしか“おきち”の気持ちは板前の芳三に傾き、それに気づいた林太郎は二人を憎み、殺害を計画する。それは何年もの準備を費やした完全犯罪のはずだった……。

 いわゆる倒叙もの。盲目の主人公が自らの障害を逆手にとり、完全犯罪を狙うというストーリーで、最後は主人公が予想だにしなかった落とし穴が待っている。
 まあ、王道といえば王道の展開だし、アリバイトリックもまあまあというところなのだが、コロンボの例を出すまでもなく、倒叙といえばラストのどんでん返しがキモ。本作はそこを比較的上手く落としていて悪くない。また、主人公のネチネチとした語りもストーリーにマッチして雰囲気もよし。
 無理があるとすれば、アリバイトリックの前提として、主人公が常人以上の感覚を身につけなければならない点だが、ま、野暮はいいますまい(苦笑)。

 なお、本作はタイトルはもちろん内容も相当アレなので、おそらく通常の商業出版物として復刻されることは今後ないかもしれない。まあ、古本で入手できないことはないけれど、そんな作品がこうして同人として復刻されるのは毎度のことながらありがたいかぎりである。

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 湘南探偵倶楽部さんが発行している「知られざる短編」シリーズから、大下宇陀児『火傷をした楠田匡介』を読む。楠田匡介のペンネームの由来となった、『新青年』での六人の作家による競作連載『楠田匡介の悪党振り』のうちの一篇である。

 こんな話。楠田匡介が目覚めるとそこは病院であった。斯波(しは)準一と組んで花火の闇製造販売を行っていた二人だが、宿での作業中に誤って失火してしまい、大火傷で二人とも病院に運ばれていたのだ。ただ、楠田は運良く顔に火傷を負った程度だったが、斯波は全身に大火傷を負って命も危ない状態だという。
 ところが顔も包帯だらけのせいか、どうやら医師や看護婦らは二人を取り違えている。そこで楠田はふとあることを思いつく。斯波が日頃から大金を持ち歩いていることを知っていた楠田は、それを自分のものにしようと、あえて自分が斯波のままでいようと企んだのだ。しかし……。

 火傷をした楠田匡介

 まあ、他愛ないといえば他愛ない話ではある。主人公としては機転を利かせた入れ替わりトリックだったが、それが予想外の展開をみせて、最後は思いもよらない結末が……という一席。
 『楠田匡介の悪党振り』といいながら、本作の楠田は絵に描いたような小物っぷりで、そんな愛すべき犯罪者をコミカルに描きつつ、オチも決めてきれいにまとめている。まるで落語にでもありそうな話で、まずまず楽しく読める。

 ちなみに『楠田匡介の悪党振り』には、宇陀児のほかに水谷準「笑ふ楠田匡介」、妹尾アキ夫「人肉の腸詰(ソ-セイジ)」、角田喜久雄「流れ三つ星」、山本禾太郎「一枚の地図」、延原謙「唄ふ楠田匡介」という作品がある。
 まあ、ぜがひでもというほどではないが、残りも読めるなら読んでみたいなぁと少し調べてみたところ、どうやら現在入手可能なものとしては、「人間の腸詰」が論創ミステリ叢書『妹尾アキ夫探偵小説選』に、「一枚の地図」が同じく論創ミステリ叢書の『山本禾太郎探偵小説選I』に収録されていることを突き止める。
 ううむ、突き止めたのはいいが、すでに二作とも読んでいるではないか(苦笑)。恥ずかしながら全然覚えていなかった。
 さらに調べを進めると、今度は春陽堂書店が1994年に復刻した『創作探偵小説選集 第3輯』にシリーズ六作がまるまる収録されていることも判明。念のため自分の蔵書リストをチェックすると、案の定、こちらもすでに二十年ほど前に自分で買っていたわけだが(トホホ)。
 せっかくなので、こちらの感想も気が向いたらそのうちに。

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 大下宇陀児の『仮面城』を読む。東都我刊我書房による私家版で、雑誌『少女倶楽部』で昭和四年から五年にかけて連載したものをまとめた子供向け作品。各章の最後には、次号の煽り文句も併載されていて、これもまた楽しい。

 こんな話。クリスマスも近い十二月の銀座。その露店が並ぶ一角で、バナナの叩き売りをする大柄な老人と、その横で花売りをしている少女がいた。老人はかつて伯爵に仕えていたバナ勘こと武田勘右衛門、少女は伯爵の娘として何不自由ない生活を送っていた柳田由美子である。ところが伯爵夫妻が出先で何者かに誘拐され、さらには金庫にあるはずの財産もすべてが空っぽになっており、二人はこうして日々の糧をしのぐようになったのである。
 そんなある日のこと。由美子は謎の紳士によって東京駅へ呼び出される。その話をバナ勘から聞いた新聞記者見習いの生駒京之助少年。これはどうも怪しいと睨み、バナ勘とともに由美子の跡を追うが、やはり由美子は誘拐されていた。二人は手がかりを追って、ある大型帆船に乗り込むが……。

 仮面城

 これはなかなか出来のよい少年少女向け冒険小説だ。
 もちろん当時の作品ゆえ部分的にはご都合主義や突飛なネタはあるけれども、全体にプロットがしっかりしており、ストーリーの展開がいい。
 銀座や東京駅での事件の発端はスピーディー、巨大帆船のシーンではいったん落ち着き、悪人たちの存在を明らかにするとともに敵の巣窟たる仮面城への恐怖を盛り上げ、そして中盤以降の仮面城では大冒険。それぞれの舞台においては必ず新たな謎を提示し、さまざまなギミックを用意してとにかく飽きさせないのだ。特に「ジェンナー」に関する暗号ネタはけっこう面白い。

 超人的な少年が一人で大活躍するのではなく、バナ勘その他の登場人物にもいろいろ見せ場があるのも本書の注目したいポイントだ。仮面城に舞台が移ると、そちらでも新たに重要なキーマンが登場したりして、これもストーリーが単調になるのを防いでいる。いってみればカットバック的手法なのだが、戦前の探偵小説でここまでスマートにやっている例はあまり記憶にない。個人的には本書でもっとも気に入っているところである。

 しいていえばラストをさらっとまとめすぎた嫌いはあり、この点がもったいないといえばもったいない。正直、もう一回ぐらい連載を伸ばしてもよかったと思えるほどなのだが、とはいえ当時の子供向け探偵小説、特に冒険小説は最後がグダグダになったりするものも少なくないので、本作のようにきれいに収束させているだけでも満足すべきなのかも。

 まとめ。このところ私家版で復刊されることが多い宇陀児作品だが、なんだかんだ言ってもやはり戦前の探偵小説作家のなかでは安定している方なのかなと思う。まあ、経年劣化しているものも多いだろうけれど、本当にどこかで全集組まないかね(笑)。

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