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 ロバート・ウィーバーカの『スティング』を読む。もちろんポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが共演した、あの傑作映画の小説版である。
 といってもこの映画はオリジナル脚本だから原作などはない。つまり本書はノヴェライゼーションというわけである。実は最初は何も知らずに原作のつもりで読んでいたのだが、おそろしいほど映画のストーリーに忠実なため、さすがにこれはないなと思い、ネットでちょこちょこ調べたところノヴェライズであることが判明した次第。
 著者のロバート・ウィーバーカについてはそれほど詳細な資料が見つからなかった。70年代にテレビや映画のノヴェライゼーションを数多く手がけたようで、海外の古書販売サイトを見るとけっこうな数がヒットするのだが、『スティング』以外に日本で知られているのは、せいぜい『ラッシー』(ハヤカワ文庫で邦訳あり)とか『The Waltons』(邦訳無し、TV版タイトルは『わが家は11人』)のノヴェライゼーションぐらい。あと、面白いところでホームズものの映画『名探偵ホームズ 黒馬車の影』のノヴェライズもやっているようだ(これも残念ながら邦訳無し)。もしかしたら有名な作品が他にもあるのかもしれないが、ううむ、映画はそこまで強くないから調べるのは面倒だしなぁ。詳しい方情報求む。

 スティング

 前置きが長くなった。
 さて小説版『スティング』であるが、特にノヴェライズにあたって大きな変更などは加えられていない。先ほども書いたように、構成・設定・ストーリー展開もほぼ映画どおり。チンピラ詐欺師が殺された師匠の仇をとるために、大物詐欺師の協力を得て、あるギャングのボスに一世一代の詐欺を企てるというお話。いわゆるコンゲームを描いた物語で、そこらのミステリが裸足で逃げ出すぐらい出来がいいのは、皆様ご存じのとおりであろう。
 違いといえば、小説という表現方法のため、ある程度の心理描写が加えられていること。とはいえコンゲームという題材ゆえあまり緻密なものではない。フェア・アンフェアという観点からいうと、どうしても映画よりはハードルが高くなってしまうために難はあるのだが、謎解き小説ではないからこれぐらいは十分に許容範囲とすべきだろう。
 また、その他の変更点としては、一部の登場人物の名前や容姿。仇役のボス、ロネガンの名前が小説ではロリマーになっていたり、ニューマンの演じたゴンドーフが太った老人になっていたり、という具合。映画の脚本はニューマンをはじめ様々な人間が口を出したため、修整に次ぐ修整があったらしいので、それらの名残かもしれない。まあ、どちらにしてもニューマンやレッドフォードに脳内変換されるから、あまりこれも気にならないが(笑)。
 とまあ、そういった差異、そして映像とテキストという表現方法の違いはあるものの、元の素材が良いから小説版も十分面白い。詐欺テクニックなどはテキストで読んだ方がわかりやすいというメリットもあり、ノヴェライゼーションとはいえけっこうオススメである。なお、映画はもちろん必見。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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