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 メイベル・シーリーの『ドアをあける女』を読む。ほとんど知らなかった作家だが、1930年代から50年代にかけて活躍した作家で、作風はずばり個人的に苦手とする「HIBK派」。苦手なものをなぜ読むのだというツッコミはなしね。クラシックはもともと読む人自体が少ないので、前評判だけで判断するのは実に危うい。とりあえず自分で一度は読んでみないと、その作者の真価はわからないのである。おお、いいこと言った、自分(爆)。

 ドアをあける女

 ニューヨークから故郷へ帰ってくる度に派手な浮き名を流すシルヴィア。母と二人で質素な暮らしを送るキャシーはシルヴィアの従妹でありながら、シルヴィアのいる本家とは折り合いが悪く、ほとんどつきあいも無かった。そんなある日、奇妙なことにシルヴィアがキャシーにある相談を持ちかけ、キャシーはシルヴィアの家を訪れることになる。だが、そこでキャシーが見たものは、殺されたキャシーの死体であった。犯人は彼女とごく近しい十人に絞られるが……。

 おお、HIBK派といえども、これぐらいならOK。ヒロインの心理描写が徹底的に書き込まれ、すべてが彼女の心象風景ではないかと思われるぐらいの描写ではあるが、ラインハートあたりに比べるとずいぶん普通に読める。これはHIBK派とかいうことではなく、単純に小説家としての力量――文章や構成力が、ラインハートより上なのだろう。
 最初に容疑者を限定し、試行錯誤したり絞り込んだりするあたりは、ちょっとした本格テイストだが、もちろん主眼はサスペンス。とはいえラストの捻りも堂に入ったものだし(まあ予想はしやすいけど)、下手な本格よりは全然上だろう。

 惜しむらくはヒロインの性格である。
 個人的な好みなのかもしれないが(笑)、どうにもこうにも言動が受け身すぎて、まったくもって感情移入ができない。一応はかなりの美貌であり、知的な女性のようなのだが、全然そうは思えないのである。
 とりわけ前半~中盤はそれがひどく、終盤に進むあたりでようやく少しずつ自分を見出していく。そこにこそ『ドアをあける女』というタイトルの意味が込められてはいるのだが、ううむ、書かれた時代もあるんだろうけどねぇ。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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