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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in "国内作家 橘外男"

Category: 国内作家 橘外男    12 21, 2022
橘外男『橘外男日本怪談集 蒲団』(中公文庫)
 『橘外男日本怪談集 蒲団』を読む。バラエティに富む作風の橘外男だが、あえて看板をいえば幻想怪奇小説か。中でも海外を舞台にした秘境伝奇系は非常にインパクトの強い作品が多いけれども、その一方で日本を舞台にした、オーソドックスな怪談風の物語も印象に残る。 本書は後者の代表作をまとめた怪談集ということで、さすがにに既読の作品が多いけれども、これから橘外男を読もうという人にとっては実におすすめの作品集とな...

Category: 国内作家 橘外男    06 09, 2019
橘外男『獄門台の屋敷』(湘南探偵倶楽部)
 ここのところ湘南探偵倶楽部さんが復刻した子供向けの探偵小説を集中的に消化しているが、本日もその中から橘外男の『獄門台の屋敷』を読む。集英社の「おもしろブック」という雑誌で1958年にわたって連載されたものだ。 復刊にあたっては当時の雑誌をそのままスキャンして製本している。したがって当時の挿絵はもちろん、紙面の端々にある当時の広告やら漫画やらもそのまま見ることができ、そういうのを眺めているのも楽しい。...

Category: 国内作家 橘外男    12 08, 2018
橘外男『コンスタンチノープル』(中公文庫)
 橘外男『コンスタンチノープル』を読む。 著者は自作のことを実話小説というふうに呼んでいたというが、本作もまたオスマン帝国(オスマントルコ)の裏外交史の1ページといった趣。史実をベースにしながらも、奔放な想像力で一人のドイツ人女性の数奇な運命を描いている。 物語の舞台となるのは、第一次世界大戦の足音も迫るオスマン帝国。ドイツの大富豪にして武器商人ヨーゼフ・ケルレルは美しい夫人のエリスを帯同し、コン...

Category: 国内作家 橘外男    08 13, 2017
橘外男『私は前科者である』(新潮社)
 本日の読了本は橘外男の自叙伝『私は前科者である』。 橘外男といえば文壇から距離をおいた無頼派の作家というイメージ。その経歴も無頼派にふさわしく、若い頃から荒れた生活を送って旧制中学を退学になったり、父親から勘当されたり、挙げ句の果てには横領で実刑判決をくい、服役経験まである。 その後も前科者の烙印を押されたことで底辺の生活を送っていたが、妹の死をきっかけにもともと興味のあった小説を書き始め、やが...

Category: 国内作家 橘外男    05 17, 2015
橘外男『私は呪われている』(戎光祥出版)
 先日読んだ『死の谷を越えて―イキトスの怪塔―』は読めただけでもありがたいし、見るべきところも多々ある作品だが、いろいろと欠陥も多い作品だったから、消化不良感がないといえば嘘になる。ならばというわけで、もう一冊続けて橘外男を読むことにした。ミステリ珍本全集の第6巻として刊行された『私は呪われている』である。 橘外男というだけでも十分お腹いっぱいになるところへ、ミステリ珍本全集(日下氏編集)というフィ...

Category: 国内作家 橘外男    05 09, 2015
橘外男『死の谷を越えて—イキトスの怪塔—』(盛林堂ミステリアス文庫)
 橘外男の『死の谷を越えて—イキトスの怪塔—』を読む。版元は盛林堂ミステリアス文庫。 以前にも書いたが、盛林堂ミステリアス文庫は西荻窪の古書店、盛林堂さんが発行している叢書で、商業出版ではとても成り立たない企画をやってくれるのがありがたい。 『死の谷を越えて —イキトスの怪塔—』も、橘外男という程度ならまだ商業出版の可能性はあるのだが、これが戦後間もない頃のジュヴナイル、しかも内容が想像以上にアレだっ...

Category: 国内作家 橘外男    01 25, 2015
橘外男『ベイラの獅子像』(現代教養文庫)
 現代教養文庫の橘外男傑作選第三巻『ベイラの獅子像』を読む。収録作は以下のとおり。「博士デ・ドウニヨールの『診断記録』」「野生の呼ぶ声」「米西戦争の蔭に」「ベイラの獅子像」「棺前結婚」  初期の秘境もの四作に加え戦後の怪談もの「棺前結婚」を収録という構成。妙にバランスが悪い感じがするのだが、この現代教養文庫版橘外男傑作選は、全体的に収録作の意図がわかりにくいのが欠点である。満遍なく傑作を収録するの...

Category: 国内作家 橘外男    12 06, 2014
橘外男『ナリン殿下への回想』(現代教養文庫)
 橘外男の『ナリン殿下への回想』を読む。先月読んだ『死の蔭探検記』同様、現代教養文庫から出た橘外男傑作選の第二巻。まずは収録作。「ナリン殿下への回想」「蒲団」「聖コルソ島復讐奇譚」「マトモッソ渓谷」「令嬢エミーラの日記」「雪原に旅する男」  中央書院から刊行された『橘外男ワンダーランド』全六巻はテーマ別の短編集だったが、現代教養文庫版の傑作選は、それぞれに著者の魅力をまんべんなく収録している。本書...

Category: 国内作家 橘外男    10 13, 2014
橘外男『死の蔭探検記』(現代教養文庫)
 台風がきているのでひきこもって読書。今はなき現代教養文庫から橘外男傑作選のI巻『死の蔭探検記』を読む。 ざくっと橘外男の全貌を知るには、ちくま文庫の『怪奇探偵小説名作選5 橘外男集 逗子物語』が便利だが、それが出るまではこの現代教養文庫の傑作選全三巻が定番だった。中央書院の橘外男ワンダーランド全六巻という手もあったが、あちらはハードカバーということもあって、やはりおすすめはお手軽な文庫版だったのだ...

Category: 国内作家 橘外男    11 16, 2006
橘外男『怪奇探偵小説名作選5 橘外男集 逗子物語』(ちくま文庫)
 『怪奇探偵小説名作選5 橘外男集 逗子物語』読了。収録作品は以下のとおりで、上の五作が海外を舞台にした実話風の作品、下の五作が日本の怪談ものという構成。橘外男という作家の傾向がある程度つかめる仕組みとなっている。「令嬢エミーラの日記」「聖コルソ島復讐奇譚」「マトモッソ渓谷」「怪人シプリアノ」「女豹の博士」「逗子物語」「蒲団」「生不動」「幽魂賦」「棺前結婚」 さて、個人的には橘外男の作品集を読むのは...

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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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