毎日、特撮ではアホかと思われるかもしれないので、本日は趣を変えて、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』をご紹介。
『ちいさいおうち』は、環境破壊やエコロジーをテーマとして、1942年に書かれた絵本である。もう古典といっても差し支えないぐらい有名な本なのだが、管理人は恥ずかしながら初読。何を今頃こういうものを読んでいるかといえば、もちろん理由があって、察しのいい人ならもう気づいているだろうけれど、まあ、明日明後日ぐらいにはその理由も書く予定である。

それはともかく。
本書の魅力は何と言っても、その瑞々しく美しい絵にあるかと思われる。とても魅力的なタッチだが、ただ美しいだけではない。環境破壊によって徐々に変化する町の景色を、見開きごとに実に細やかに描いており、隅々まで丁寧に描いている。子供ならその端々にまで目をやっては、いろいろな楽しい発見があることだろう。いや大人だって十分に引き込まれる。
また、環境破壊というテーマについても、設定がうまいせいか、全然古びていない。問題定義をしつつ、その解決法についても極端に白黒つけるのではなく、その中間に落としどころを持っていく手際がいい。
ヒステリックになることなく、悪者を決めつけることもない。ハッピーエンドにしつつ、でも読者(子供たち)には将来のことや環境のことも考えてもらう、という実に鮮やかな手並み。価値観が多様化している現代にこそ、読んでおきたい一冊なのかもしれない。
素直な気持ちで読める、いい絵本です。