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 台風、東京では思ったほど大したことなし。ただ、一部、表参道などでは冠水した模様。水害に遭われた方には気の毒だが、だいぶ涼しくなったのはほんと助かる。

 ちくま文庫の文豪怪談傑作選から『柳田國男集 幽冥談』を読む。
 柳田國男をまとめて読むのは、もしかすると三十年ぶりぐらいではないかと思う。何というか文系男子の嗜みとでもいうのだろうか(笑)、一度はフロイトと柳田國男は読んでおかなければならない風潮というのがあって、まあ、これが自分のようなダメ学生には非常に効果的だった。心理学や民俗学自体の面白さはもちろんあるのだが、理屈をこねるということがどういうことか、その理想形を見せられているようなところがあり、非常に勉強になったのである。
 とりわけ柳田國男は文章のわかりやすさや面白さに加え、民話や伝説といった魅力的なテーマだったこともあり、一時期は非常にはまったものだった。ナップザックに二、三日分の着替えと『遠野物語』を詰めて、十日間ほど一人でぶらりと東北に出かけたこともあった。こぢんまりとした遠野の町をバスで巡って、五百羅漢やオシラサマ、カッパ淵なんかを観てまわったのだが、金はなかったけれど今思うと贅沢な時間の使い方ではあった。

 さて、柄にもなくそんな思い出が蘇る、本日の読了本『文豪怪談傑作選 柳田國男集 幽冥談』である。
 実は本書を買ったとき、柳田國男がそんなに怪談を書いていたっけという素朴な疑問があったのだが、『遠野物語』が丸ごと収録されているとはいえ、やはり中身は怪談に関する評論が中心である。
 いわゆる怪談や伝説の類を、柳田國男がどのように解明するかといったところが読みどころ。その大前提として入念なフィールドワークがあり、伝承を繰り返し積み重ねていくことで見えてくる真実がある。編者の東雅夫氏は、その柳田の学問的アプローチが、結果として文学的感動を与えるものになっていると解き、故に柳田國男で怪談集を編もうと考えた。
 果たして編者の狙いどおり文学的感動を得られたかとなると、個人的にはちょっと?だが(笑)、文章的にも内容的にもその面白さは保証できる。事例を挙げながら筆を進め、最終的な着地点にもっていく手際は鮮やかで、「山人」や「天狗」に関する話などは今読んでも非常にスリリングだ。
 初めて柳田國男を読む人にも最適の一冊。ついでにカバーのイラストもグッジョブ。

 柳田國男集幽冥談

「怪談の研究」
「山人の研究」
「遠野物語」
「幽霊思想の変遷」
「魂の行くえ」
「幽冥談」
「熊谷弥惣左衛門の話」
「狸とデモノロジー」
「池袋の石打と飛騨の牛蒡種 『巫女考』より」
「魚王行乞譚」
「念仏水由来」
「一目小僧」
「妖怪種目」
「かはたれ時」
「幻覚の実験」
「発見と埋没と」
「故郷七十年(抄)」
「『耳袋』とその著者」
「根岸守信編『耳袋』」
「鈴木鼓村著『耳の趣味』」
「岡田蒼冥著『動物界霊異誌』」
「這箇鏡花観」
「夢がたり」
「草もみじ」
「『近世奇談全集』序言」

テーマ:幻想文学 - ジャンル:本・雑誌



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