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 ファンタジーの名作として名高い『ジェニーの肖像』が本日の読了本。何を今さらの一冊ではあるのだが、恥ずかしながらこれが初読。ずいぶん昔に映画で筋を知ってしまい、なかなか読む気が起こらなかったのだが、先日、ハヤカワ文庫版を古本屋で見つけ、何となく読みどきかなと思って購入した次第。

 ジェニーの肖像

 1938年の冬、青年画家のイーベンはまったく絵が売れず、失意の日々を過ごしていた。その日も買い手のつかない絵を抱えてセントラルパークを歩いていると、石蹴りをしている一人の少女が目にとまる。少女の名はジェニー。ちょっぴりずれた会話、そして去り際の奇妙な歌、何よりその不思議な美しさに魅了され、イーベンは彼女のスケッチを描き残すのだが……。

 こういう名作の感想というのは何とも書きにくいけれど、やはりこれは名作と呼ばれるだけのことはある。文庫にしてわずか160ページほどのボリュームしかないのに、その余韻だけで100ページ分ぐらいありそうな感じ(意味不明)。
 いい理由はいろいろあるが、個人的イチ押しはジェニーとイーベンの交流の描写。御存じのように、ジェニーとイーベンの逢瀬の様子は微妙に変化していく。この一連の描写が見事で、もちろんエピソードもいいのだけれど、二人の距離感そして空気感の描き方が実にいいのだ。二人が最後に出会うラスト。このほろ苦さもまた絶妙である。
 時間テーマのファンタジーではあるけれど、あまりそういうことには囚われず読むのが吉。ああ、映画の方も久々に見直そうかしら。


テーマ:幻想文学 - ジャンル:本・雑誌



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