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探偵小説三昧

天気がいいから今日は探偵小説でも読もうーーある中年編集者が日々探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすページ。

 

ロン・グーラート『ゴーストなんかこわくない』(扶桑社ミステリー)

 基本的にはテレビのドラマは滅多に観ないのだが、これだけはぜひとも観たかった作品。というわけで録画してあった『のだめカンタービレ』の第一回をようやく観ることができる。キャストはなかなか頑張っている感じだが、何にも増して感心したのは原作をかなり忠実になぞったシナリオ。ギャグまで忠実にやっているので、たまにすべり気味のところもあるが(特に竹中直人だけはやり過ぎの感が……)、これなら一応は許容範囲。しばらくはつきあうことにしよう。

 ロン・グーラートの『ゴーストなんかこわくない』を読む。
 本業は広告代理店の社員だが、その傍ら趣味で幽霊退治の副業をやっている、マックス・カーニイの活躍を描く短編集。一応はオカルト系だがホラーの要素はまったくない。依頼される内容も、祝日だけ象に変身してしまうだとか、夫が人魚と浮気しているだとか、極めてコミカルかつコメディ路線。いかにもアメリカ人が好きそうなバカ話なのだが、無粋を承知でいうと、作品によってはもう少しオチをしっかりつけたり、もしくは謎解きをちゃんと絡めたり、あるいはブラックにしてみたほうが、より効果的に思える。
 個々の作品をあまり大事にしない、というのは言い過ぎかもしれないが、基本的には書いて終わり、というタイプの作者に思えて、ちょっともったいない感じがするのだ。


プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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