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 東京立川の駅ビル、グランデュオではこのところずっとリニューアル工事が行われていたのだが、いくつかのフロアでは営業を再開し、店舗もけっこう新しくなったようだ。そんな店舗のひとつに書店、オリオンパピルスがある。
 オリオンパピルスは普通の書店とは異なり、かなりコンセプトが明確に打ち出されているお店。中心となるのは文芸・アート・児童書といったあたりで、それがサブカル的なテーマだったり、出版社だったりといった、さまざまな構成によって立体的に陳列されている。ひとつ興味のあるものが見つかれば、それがまた次の棚につながり、それがまた次の……という具合でかっこよくいえば知の連鎖(笑)。使われている什器もバラバラで、そのコーナー毎に独自の演出もされている。京都に恵文社一乗寺店という有名な書店があるが、あれと同じようなコンセプトなのかもしれない。
 だが、これはディスプレイする方は大変だろうなぁ。普通に売るよりは、本の中身もより詳しくなければならないわけだし。とはいえ本好きにはたまらなく楽しい造り。時間があればいくらでもぼーっとできる本屋。貴重です。


 そのオリオンパピルスで本日購入したのが、太田大八の『雑誌「宝石」の挿絵 1952-1960』。空犬さんのブログ「空犬通信」で情報をゲットし、実はほとんどこれ目当てで行ったようなものなのだが(苦笑)。

 雑誌「宝石」の挿絵 1952-1960

 太田大八といえば、絵本や児童書での業績の方が知られているかもしれないが、ミステリ者にとってはかの江戸川乱歩が編集した探偵小説誌「宝石」で、挿絵を多く手掛けた画家としての方が有名だろう。本書はその「宝石」での仕事をまとめた一冊。
 いかにも挿絵といったラフな線で描かれるのは、艶っぽい女性だったり、しかめ面した老人だったり、お洒落な青年だったり。余計なものを省いたサラッとした情景ばかりなのだが、それがみごとに物語の世界感を醸し出す。古さと新しさが混在した、当時ならではの独特のモダニズムが雰囲気満点でたまらない。特にヴァン・ダインの『グレイシイ・アレン』やアイリッシュの『夜の眞珠』とか、翻訳物の絵の方がより魅力的に見えるのは、やはりこのラフなタッチのせいなのか。
 正直、本の造りは同人誌レベルなのだが、値段も相応なので、これは仕方あるまい。ただ、せっかく貴重な作品をまとめているのだから、せめて解説はもう少し充実させてくれたらよかったのだが。とはいえ出してくれるだけでもありがたい類の本なので、あまり贅沢はいえないか(苦笑)。
 一応、三百部限定の本らしいので、興味のある方は版元のトムズボックスさん、もしくはオリオンパピルスへぜひどうぞ。

テーマ:イラスト画集 - ジャンル:本・雑誌



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