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 本日は抜歯の日。以前に虫歯の治療をした親知らずの詰め物がとれてしまい、虫歯も再発しているということで、結局抜くことになったのだ。抜歯自体は意外に早く終わったが、けっこう鈍痛が続いてブルー。皆さんも歯は大切に。


 ハードボイルド界の第一人者といってよいだろう。ロバート・B・パーカーは、強いアメリカ、正しいアメリカを擬人化したようなキャラクター、つまりスペンサーを創造し、そのシリーズで好評を博してきた。さすがにデビュー以来30年以上も続いているのでマンネリ感は拭いようもないが、スペンサーの言動は今もってブレもなく、直接的に心に訴えるようなパワーは認めなければならない。
 問題は、パーカーがどんなテーマの物語を書こうが、どんな主人公を描こうが、どれも同じような印象しか残らないという点だ。要はすべてがスペンサー・シリーズの亜流にしか思えないのである。

 本日読んだ『ダブルプレー』は、そのパーカーが発表したノン・シリーズ作品。メジャーリーグの史実をネタにした異色のハードボイルドだ。
 大リーグ初の黒人プレイヤーとしてデビューしたジャッキー・ロビンソン。覚悟していたこととはいえ、プレイ中でも球場の外でも悪質な嫌がらせを受ける始末だった。そこにボディガードとして雇われたのが、ジョゼフ・バーク。第二次大戦によって身も心もボロボロになって帰還したが、ボクシングを学び、裏社会の仕事で再起した男だった……。

 ううむ。やはりスペンサーもののアレンジという印象は拭えない。バークとジャッキーの会話はスペンサーとホークのそれを連想させるし、おしゃべりと寡黙という違いはあるにせよ、バークの自信に満ちた言動はスペンサーそっくりだ。心に深い傷を持ち、それを押し隠しているキャラクターのはずなのに、ただの自信満々の男にしか思えないのは、パーカーの単なる好みなのか、それとも限界なのか。
 ただ、スポーツ界における人種差別というテーマは魅力的だし、パーカーの描きたかったことは非常によくわかる。わかるのだが、アプローチが浅いのがなんとももったいない。
 パーカーが書いたと言われなければ、もう少し甘い評価でもいいのだが……。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 東京ビッグサイトで行われている『WPC TOKYO 2006』やら『eドキュメントJAPAN 2006』等を視察。
 まあ仕事絡みなのでそちらの話題はともかくとして、それよりも乗換駅、豊洲の駅前の発展ぶりに驚いてしまった。そういえばキッザニアなんていうのも、豊洲であった。あれは正直、考えて実行してしまったやつに心底感心する。メキシコが発祥の地、というのもまた驚きである。

 読了本は引き続きロバート・B・パーカーから『沈黙』。
 ホークの恩人の息子が窮地に陥っている。ネヴィンズというそのアフリカ系アメリカ人は大学の教授だが、ある学生と同性愛の関係の末に自殺に追いやってしまい、それが原因で大学の終身在職権を失おうとしているという。一方、スーザンは友人が別れた夫からストーカーに遭っているので助けてほしいと相談される。スペンサーが調査を開始した二つの事件は、やがてスーザンとスペンサーの関係に微妙な影を落とし始める……。
 二つの事件を語るためにいつもよりは長めの作品。単に長いだけではなく、事件そのものが久々に骨のあるものだし、『チャンス』あたりに比べると程良い緊張感があるのがいい。シリーズ中でも悪くはない部類だろう。
 シリーズのファンに対しては、ホークの若い頃についての言及がある点に注目。また、マイノリティに対するスペンサーの考えを率直に表した作品としても記憶しておきたいところだ。


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 ロバート・B・パーカーの『突然の災禍』を読む。おなじみスペンサー・シリーズ。
 スーザンの元夫ブラッドがセクハラで訴えられるという事件が起き、ブラッドはスーザンに助けを求めた。スーザンは複雑な思いを胸にしながらもスペンサーに調査を依頼するが、スペンサーがブラッドに会ってみると、スーザンの話と食い違うことが多く、当人は弁護士を雇おうともしない……。

 前作『悪党』でスペンサーに試練を与えたパーカーだが、本作『突然の災禍』ではなんとスーザンに大いなる試練を与えたようだ。精神科医でありながら、元夫と現在の恋人の間で、自分の感情をうまく整理できないスーザン。それは過去の過ちをまたも繰り返しているのではないかという不安でもある。スペンサーはそんなスーザンの胸中を完全には理解できないでいるものの、……というのが今回の見所。二人のドラマが強すぎて、事件そのものは本当にどうでもいい状態である。ここまでいくと、もはやハードボイルドやミステリとしての評価は不可能に近いが、逆にシリーズをずっと読んできた人には見逃せない作品であることもまた確か。 おなじみホークとのやりとりや、懐かしのレイチェル・ウォレスらのシーンなど、楽しめる部分も多く、ファンなら必読といったところか。


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 今回スペンサーが依頼された仕事は、一年半前に起こった白人女子大生殺害事件の再捜査だった。犯人の黒人少年は既に逮捕されているが、当時は十分な弁護ができなかったと感じた弁護士が、スペンサーの助力を求めてきたのだ。スペンサーは被害者の肉親や事件関係者らから聞き込みを始めるが、被害者のボーイフレンドやその両親の釈然としない態度に疑念を抱き始める。同時にスペンサーは何者かから、事件から手を引くよう脅迫され、ついには狙撃によって重傷を負ってしまう……。

 真っ当な、あまりにも真っ当なストーリー展開にちょっと驚いてしまった。殺人犯の濡れ衣をはらすという捜査の依頼。嘘をつく関係者たち。高慢な金持ち。捜査への圧力。それをはねつけ、結局は銃弾に倒れる主人公。そして再生と復讐、勝利。
 うろ覚えの知識を承知で書くと、これらの一つひとつの要素は、民俗学でいう民話の構造に見事なまでに沿ったものであり、いかにパーカーがスペンサー・シリーズを現代の寓話的存在として成り立たせようとしているかの証ではないだろうか。本書『悪党』ばかりではなく、『初秋』などの過去の代表作もまた似たようなものである。だからこそ多くのファンを安心させ、読み続けさせる力を備えているといえるだろう。スペンサー・シリーズがマンネリだというのは以前からよく言われていることだし、自分でもそう思っていたのだが、もしかするともっと違う見方をすべきではないだろうか。ふとそんなことを思ってしまった。前作『チャンス』が少々もたついた作品だったので、よけいにそう感じたのかもしれないが。

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 読書ペースがもうひとつ捗らなくて困る。原因はあれこれあってハッキリしているのだが。
 それでも日記ぐらいは何とか書こうと思いつつ、読書が進まないとなぜか日記も滞りがち。まあ、感想を日記に残すという目的も確かにあるのだけれど、完全に連動させる必要もそのつもりもないわけで。変な刷り込みができちゃったなと思う。

 久生十蘭や森下雨村を集中的に読もうと思いつつ、少し『魔都』に悪酔いしてしまったので、軽いものをと思いロバート・B・パーカーのスペンサーもの『チャンス』を読んでみる。
 もはやこのシリーズにストーリー紹介は不要な気もしないではないが、一応書いておくと----。
 ボストン暗黒街を牛耳る一方のボスが、娘と共にスペンサーに依頼を持ち込んだ。娘の夫、アンソニイが失踪したので見つけだしてほしいというのだ。しかし、娘に比べるとボスは捜索にまったく熱心ではなく、逆にスペンサーの興味をひいてしまう。やがてアンソニイに賭博癖があることを突き止めたスペンサーは、ホークと共に巨大娯楽都市ラス・ヴェガスへ飛んだ。だが、そこで事件は意外な方向へ進んでゆく……。

 シリーズの中では比較的長めのこの作品。そのせいかどうかはわからないが、もうひとつ読後感として釈然としないものを感じる。いつものキレの良さというかストレートな主張が影を潜めている気がするのである。それは例えば中だるみしている構成であったり、珍しく後手をとってしまうスペンサーであったり、じれったい捜査の進捗状況であったりするのだが、これがストーリー上だけのことであればまだ気にならない。問題は登場人物たちの思考や行動にまで影響している点だ。
 特にスペンサーの覇気の無さは気になる。これはスペンサーが年齢的に衰えてきたということになるのだろうか。そして、それは取りも直さず作者パーカーの衰えに他ならない。今や予定調和的なところがウリのこのシリーズで、シリーズが持っていた爽快感や躍動感を失うことは致命的であると思うし、作者がもしそれを意図してやっているのだとしたら、シリーズは大きな曲がり角を迎えているのかもしれない。
 本書読了後の現在、スペンサーものの次作はもう三作ほど邦訳されているはずなので、それらを読めばすぐに答えはわかるのだが、まあ、これは楽しみにとっておきましょう。出来はイマイチながら、久々にシリーズの行方が気になる一冊であった。

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 会社で年末調整の準備やら年賀状の準備やら。通常業務に加えて、年末業務がいろいろと重なってきて慌ただしい。

 ロバート・B・パーカー『束縛』読了。スペンサーものではなく女性私立探偵サニー・ランドルを主人公にしたシリーズ第三作である。
 今回のサニーの仕事はボディガードだ。ロマンス系の超売れっ子作家メラニーが、全米をまわるサイン会を行うことになる。しかし実はメラニーは離婚した夫から尾け回されており、精神的にも追いつめられている状態だった。サニーはその護衛を請け負うわけだが、相手がただのストーカーではないことを知り、その裏に隠された卑劣な犯罪をも暴こうとする。
 ううむ。最近のパーカー作品のなかでは久々にいいのではないか(といってもそれほど新しい作品ではないが)。正直、このところは義務的というか惰性で読んでいる感じだったが、本作なかなか読み応えがある。
 事件そのものは相変わらず大したことはない。犯人は最初からわかっているし、犯行もだいたい予測できるレベルのもので、そういう点での驚きはない。読みどころはなんといっても登場人物たちの人間模様だ。著者の主義主張はどの作品においても常に不動ではあるが、本作では行動や心理が丁寧に描写されているので、その説得力がいつも以上に高い。
 特に主人公サニーが出した結論は、紆余曲折を経て、葛藤の末に導き出したものであるから、非常に好感をもつことができる。共感ではない、あくまで好感。まあ、その主張に全面的には賛成できないけれど、それだけ考えたんなら頑張ってやってみてよ、という感じか。
 そこにはエキセントリックに自分だけの意見を押し通していくエゴの塊のような女性探偵はいない。自分の内面をしっかりと見つめ、友人たちとも意見を交わす。そのうえで突っ走るから美しいのだ。
 ただ、パーカー自身の主義が根底にあるのは間違いないので、サニーのこの生き方が女性読者に受け入れられるのかどうか。興味深いところではある。

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 腰痛でダウン。目が覚めてもしばらく動けず、やむなく会社を休む。原因ははっきりしており、日曜に家で長時間パソコンを使って仕事をしたせいである。机と椅子の高さのバランスが悪いのはわかっており、普段は気をつけているのだが、ちょっと根を詰めすぎたようだ。つくづく年をとったと痛感。情けない。

 そんなわけで家で一日中横になって読書。久々にパーカーのスペンサーものを読んだ。
 スペンサーものを楽しめるかどうかは、主人公の探偵スペンサーの生き方に共鳴できるか、独特の会話を楽しめるかどうか、菊池訳が気にならないか、このあたりがポイントであると思う。初めてパーカーの作品を読んだときは、これらの要素が新鮮で気に入ったものだが、二十作を超えるとさすがにマンネリになる、っていうか逆に鼻についてくるようになるのだ。
 さて、『虚空』はこんな話だ。スペンサーの二十年来の友人、ボストン市警察殺人課のフランク部長刑事がスペンサーを訪ね、新妻のリーサが失踪したと相談にやってくる。ところがその数日後、単身で調査を行うフランクは何者かに撃たれ、スペンサーが跡を引き継ぐことになった。捜査が進むにつれ、明らかになるリーサの秘められた過去。そして同時に、一人の凶悪な男の存在も明らかになってきた……。
 相変わらず登場人物の造型がパターン化されているが、かっこいいことはかっこいい。ホークに変わるヒスパニック系の相棒や、ギャング団のボスなど、面白そうな人物を面白く動かしている。
 正直言って、現在の作品とデビュー当時の作品のレベルにほとんど差はないと思う。それはそれで大したことだと思うのだが、少しは作家としてのチャレンジができないものか。まあ、ストーリー上での動きはあるのだが、創作者としてのリスクがまったくないところでの変化でしかない。そういうジャンルの小説はあってもいいし、面白いものだってある。否定するつもりは毛頭無い。ただ、パーカーにはそうあって欲しくはないんだよなぁ。

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 読了本はロバート・B・パーカーの『湖水に消える』(早川書房)。お馴染みのスペンサー・シリーズではなく、地方の小都市パラダイスを舞台にした警察署長ジェッシィ・ストーン・シリーズである。

 湖畔で発見された少女の遺体。しかし、それは溺死でなく、銃による殺害事件だった。捜査の結果、少女の身元は判明したが、両親を訪ねたジェッシィは、そこでとんでもない返事を聞かされる。なんと彼女の母親は、そんな娘などうちにはいないというのだ……。

 以上が導入及びメインの事件となるのだが、これにジェッシィの別れた妻との関係や自身がかかえるアルコール依存症の問題、夫の暴力に悩まされながらも別れられないでいる妻の事件などが添えられている。
 事件を通して語られるのは、いつものとおり正義への強い渇望だ。ときには法を逸脱してまでも、パーカーは正義が行わなければならないと信じている。そして人として誇り高く生きるためには何を為すべきなのか。どう生きるべきなのか。パーカーの主張はいつもストレートでわかりやすい。
 だからといって、それにストレートに共感できるか、素直に感動できるかといえば別問題。例えばジェッシィのアル中問題などはキャラクター造形のうえで大変重要であり、かつ微妙に扱うべき部分だろう。一応ジェッシィもコンサルタントのところへ相談にいくなど表面的には悩んでいるところを見せる。しかしコンサルタントとのやりとりからはとても葛藤しているように思えない。それどころか相手との会話による対決、それによって起こる緊張を楽しんでいる印象すら受けるのだ。「人に対して弱みを見せることは悪なのだ」彼がこう考えていたとしても、まったく不思議はない。いわゆる「強いアメリカ」をそのまま擬人化したような、変な落ち着きのなさを感じるのである。

 スペンサー・シリーズ初期の頃のような輝きは、はっきりいって今のパーカーにはない。あの頃はネオ・ハードボイルドの隆盛の中にあって、数少ない威勢の良い私立探偵が、まっすぐに自分の道を進むことに、素直に入り込んでいけた。パーカー&菊池光のコンビによる名調子も相まって、この卑しい街をどう進んでいくのか、興味をもって読んでいけた。しかし今や、正義と愛と勇気の提唱、善悪の対立する構図、そして主人公のライフスタイルなど、パターン化された要素がテレビの水戸黄門のように偉大なるマンネリズムを構築するだけである。例え方が悪くてなんだが、要は男子のためのハーレクイン。多少の設定は違うが、少なくともここ数年に書かれたスペンサーもの、ジェッシィ・ストーンもの、ついでにいうと女性探偵のサニー・ランドル・シリーズも、みな同じ印象である。
 『湖水に消える』を駄作というつもりはない。シリーズの読者であれば、パーカーのファンであれば、いつもどおり楽しめる水準にはなっている。実際、私も退屈するわけでもなく、サクサク読むことができたし、草野球を終えたジェッシィたちが夕暮れまでビールで談笑するシーンなど印象深いところもある。
 しかし、それだけではやはり弱いのである。こっちはもっと唸らせてほしいのである。残念ながら、そこまでの力は本書にはない。

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 読む前からある程度確信していたことだが、やっぱり思ったとおり。本日読了したロバート・B・パーカー『ガンマンの伝説』の話です。

 これはスペンサー・シリーズでお馴染みのロバート・B・パーカーが史実などをもとに書き起こしたパーカー版「OK牧場の決闘」だ。西部史でもとりわけ有名なクラントン一家とアープ兄弟の対決が、腐敗した政治、開拓者たちの生き様などといった当時の社会的背景を交えて語られる。特に興味深いのはパーカーが両者の対立構造を文化の違いからくるものと捉えていること。主人公のワイアット・アープを通し、その文化の違いがどのようにして沸騰点に至ったかをお得意のパーカー節で描いてゆく。

 で、問題はそのパーカー節&訳者の菊池節である。あまりにスペンサーもので確固たるスタイルを築きすぎたため、アープのセリフはスペンサーに聞こえ、恋人のセリフはスーザンに聞こえ、その行動スタイル、考え方に至るまで、すべてがスペンサー・シリーズと似すぎている。帯には「ハードボイルドの源泉は西部劇にあり」みたいなことが謳われているが、パーカー&菊池コンビではそりゃ共通点も多いでしょう。少なくとも訳者を変えるぐらいのことは試してもよかったのではないか?>早川書房編集部
 ハッキリ言って、私的にはとても「OK牧場の決闘」を読んだ気にはなれず、スペンサー・シリーズ外伝を読まされている気分だった。だからスペンサーもの程度には楽しめるが、決してそれ以上のものではない。本当にパーカーはこれが書きたかったのか、疑問である。

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