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 ちびちび就寝前に読んでいた『ミステリーの愉しみ4 都市の迷宮』をやっと読了。この「ミステリーの愉しみ」というアンソロジーシリーズは全五巻。一応各巻のテーマみたいなものもあるが、基本は時代別のアンソロジーということで、ハイレベルの短編揃いでとにかく楽しめる。
 収録作は以下のとおり。

都筑道夫「壜づめの密室」
山村直樹「わが師、彼の京」
天藤真「隠すよりなお顕れる」
千葉淳平「或る老後」
島久平「街の殺人事件」
角兔栄児「清風荘事件」
岡沢孝雄「四桂」
陳舜臣「ひきずった縄」
梶龍雄「白鳥の秘密」
大谷羊太郎「消された死体」
連城三紀彦「変調二人羽織」
赤川次郎「幽霊列車」
泡坂妻夫「砂蛾家の消失」

 この時代のものになると、インパクトは前三作に比べるとやや落ちるが、しみじみ味わえる作品が多くなる気がする。時代が近くなるので雰囲気もつかみやすいし、感性も昔の作家に比べれば掴みやすいから当たり前といえば当たり前。
 だが、この頃のミステリ界は現在ほどの活気がなかったため、アイデアやセンスだけでやっていけるほど甘くなかったのではないかとも考えられる。その結果としての叙情性の高さ、小説としての質の高さではないだろうか。ううむ、違うか?

 とにかくそんなことを考えたりしながらお気に入りを選んでみる。まず強烈だったのは千葉淳平「或る老後」。町工場の主人と女性事務員の心理戦、主人の心情の移り変わりが読む者の心を打つ。

 角兔栄児「清風荘事件」も凄い。出張に出かけたまま自殺した弟の死に疑問を持つ兄。ゆっくりとした時間の流れだからこそ、逆に兄の静かな闘志が読み手にも迫ってくる。

 岡沢孝雄「四桂」もいい。棋士の世界という特殊な設定ながら、その世界観を巧みに使って人間の業を描いている。

 連城三紀彦「変調二人羽織」も外せない。のちに普通小説に移る作者だが、「幻影城」の頃はまだパズル性が強く、結果的にドラマとのバランスが絶妙になっている。二人羽織という古典芸能の使い方はさすがの一言。

 というわけで、パズル性が強いものより、ドラマとしての奥行きのあるものが多くなってしまった。ただし、どちらかだけ、というのはだめで、やはり謎も魅力的でなければならない。それが本格の務めだ。上に挙げた四作はそういう意味で間違いなく極上の作品ばかりである。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 鮎川哲也と島田荘司の二氏によって編集されたアンソロジー『ミステリーの愉しみ2密室遊戯』を読了する。どうにも仕事が急がしすぎるうえに、他の本に寄り道したせいもあって、読み終えるのに一週間近くかかっている。いかんなぁ。本は基本的に味わって読めばよいとは思うのだが(ことにアンソロジーは焦って読む必要などまったくないのだが)、面白い本はやはり一気に読むと読後の高揚感が違う。第一、この本はけっこう嵩張るので、通勤のお供にはしたくないタイプだしな。
 それでは収録作品。

双葉十三郎「密室の魔術師」
水上幻一郎「青髭の密室」
飛鳥高「犯罪の場」
天城一「明日のための犯罪」
杉山平一「星空」
六郷一「夜行列車」
香住春吾「ガロリン海盆」
高木彬光「妖婦の宿」
藤村正太「黄色の輪」
谿渓太郎「東風荘の殺人」
藤雪夫「アリバイ」
愛川純太郎「木箱」
仁木悦子「青い香炉」
戸板康二「松王丸変死事件」

 鮎川哲也氏の編むアンソロジー(といっても本書の実質的な編者は山前譲氏らしいが。ほんとのところはどうなんだ?)は相変わらず魅力的である。まだまだ知らない作家はいるんだなぁ。もちろん目利きの編んだアンソロジーだけに、珍しいだけではなく中身も保証付き。ちなみに国産物に限って言えば、戦前からこの時代あたりまでが管理人の今の守備範囲で、とにかくアンソロジーでも何でも読めればよい。ただし、借りるのは基本的に嫌だが(笑)。


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