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 ここ2~3週間の仕事上の懸案事項が一気に片づきひと安心。精神的にかなり楽になる。関係スタッフ一同で一杯やりたいところだったが、仕事はまだまだ終わったわけでもなく、深夜の帰宅途中で一人で祝杯をあげる。
 気持ちが少々高ぶったわけでもないが、最近滞りがちだった読書も軽快に進む。澁澤龍彦編集の『暗黒のメルヘン』読了。

泉鏡花「龍潭譚」
坂口安吾「桜の森の満開の下」
石川淳「山桜」
江戸川乱歩「押絵と旅する男」
夢野久作「瓶詰の地獄」
小栗虫太郎「白蟻」
大坪砂男「零人」
日影丈吉「猫の泉」
埴谷雄高「深淵」
島尾敏雄「摩天楼」
安部公房「詩人の生涯」
三島由紀夫「仲間」
椿實「人魚紀聞」
澁澤龍彦「マドンナの真珠」
倉橋由美子「恋人同士」
山本修雄「ウコンレオラ」

 ご覧のように恐るべきラインナップ。恐るべき質の高さ。探偵小説畑の人の作品はすべて既読で言うまでもなく傑作揃い。一方の純文学系の人のは未読が多いものの、一時期はまった作家もそれなりにいて、ある種の懐かしさにも浸りながら楽しむことができた。
 特に島尾敏雄と倉橋由美子は本当に久しぶり。島尾敏雄についてはそれほど多くの作品を読んだわけではないが、『死の棘』のインパクトが凄すぎて、当時はしばらくうなされたものである。「摩天楼」も掌編ながらねちねちと染みとおってくる感じがなんとも言えぬ味わい。倉橋由美子の「恋人同士」はいかにも倉橋由美子らしいエロティシズムに溢れた奇妙な味。技巧優先という感じは否めないがさすがの出来である。
 ちなみに澁澤龍彦は優れた幻想小説は極度に人工的なスタイルにあるということを解説で述べている。文学でなければ為し得ない純粋な表現のスタイルが高いレベルで成立してこその文学というわけだ。面白いのはその徹底的な人工的スタイルが、人の心の奥底に眠る何かを誘発させるということ。逆説めいているが、だからこそ優れた幻想小説は美しいのだ。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌


 季節のせいでもないのだが、最近は夜になると怪奇小説ばかり読んでいる。本日の読了本は中島河太郎、紀田順一郎両氏の編纂による『現代怪奇小説集』。すでに同じ編者による姉妹編『現代怪談集成(上・下)』は読んでいるが、これで日本の怪奇小説の短編の定番はひととおり押さえたことになる。
 しかしとにかく時間がかかった。何せもとは全三巻で出されたものだけにとにかく分厚い。たいがい仰向けで読んでいるので、かなり上腕の筋肉も鍛えられたはずである。

 肝心の内容だが、当代きっての目利きによる編集なので、肌に合わない作品はあれども、基本的につまらない作品などなし。その中から無理矢理ベスト1を選ぶとすると、トリを務める半村良の「箪笥」を推す。この作品は全編、能登弁(石川県能登地方の方言)で書かれており、不気味さもひとしお。まあ、実は私の出身地と言うこともあるのだが。しかし、そんな地元びいきな理由だけでなく、箪笥の上に夜な夜な家族が座るというシュールな設定もすごい。これが方言の効果と相まって、いっそう怖さを増幅してくれるのだ。

小酒井不木「手術」
畑耕一「怪談」
葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」
松永延造「アリア人の孤独」
江戸川乱歩「人でなしの恋」
瀬下耽「柘榴病」
大下宇陀児「十四人目の乗客」
稲垣足穂「ココァ山の話」
夢野久作「難船小僧」
平山蘆江「火焔つつじ」
横溝正史「蔵の中」
萩原朔太郎「猫町」
小栗虫太郎「白蟻」
橘外男「蒲団」
火野葦平「怪談宋公館」
伊藤松雄「地獄へ行く門」
倉光俊夫「怪談」
久生十蘭「予言」
香山滋「怪異馬霊教」
山田風太郎「蝋人」
吉屋信子「鬼火」
長田幹彦「死霊」
三橋一夫「角姫」
日影丈吉「奇妙な隊商」        
城昌幸「ママゴト」
星新一「おーい でてこーい」
曽野綾子「長い暗い冬」
平井呈一「真夜中の檻」
伊波南哲「逆立ち幽霊」
山川方夫「博士の目」
杉村顕造「ウールの単衣を着た男」
柴田錬三郎「兵隊と幽霊」
小松左京「写真の女」
野坂昭如「骨餓身峠死人葛」
遠藤周作「生きていた死者」
中井英夫「薔薇の夜を旅するとき」
都筑道夫「風見鶏」
半村良「箪笥」

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 本日から決勝トーナメント。一ヶ月の長丁場と思っていても、いざ始まれば早い早い。私の優勝予想ドイツはからくも1-0でパラグアイを振り切る。チラベルト、お疲れさま。


 先週に読んだ『現代怪談集成(上)』の続巻『現代怪談集成(下)』を読む。収録作は以下のとおり。

三橋一夫「ネコヤナギの下にて」
香山滋「キキモラ」
角田喜久雄「沼垂の女」
城昌幸「波の音」
江戸川乱歩「防空壕」
石原慎太郎「鱶女」
遠藤周作「針」
平井呈一「エイプリル・フール」
伊波南哲「マストの上の怨霊」
新羽精之「進化論の問題」
柴田錬三郎「赤い鼻緒の下駄」
半村良「幽タレ考」
竹内健「銀色の海」
都筑道夫「はだか川心中」
中井英夫「地下街」
小松左京「骨」
源氏鶏太「みだらな儀式」

 感想は上巻のときに書いたのと特に変わりなし。やはり物語を読む楽しさは超一級。怪奇小説などアホらしくて読んだことがない、という人にこそ読んでもらいたい一冊だ。
 個人的なお気に入りは平井呈一「エイプリル・フール」。寝る前のベッドのなかで読んでいたんだけど、これを読んだ後は思わずため息が出て、五分ほど余韻にひたってしまったほどだ。それぐらい美しい小説です。

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 会社の部下の結婚式に出席するため横浜へ。この一、二週間ですっかり夏モードに入った感じで暑い日が続くが、今日は風が気持ちよい。まあ絶好の結婚式日和でなによりです。関係ないけど明日はここで日本VSロシア戦があるんだなあ、うう楽しみ。

 涼しくするためというわけでもないが、『現代怪談集成(上)』(立風書房)を読了。一週間ほど前からぼちぼち読んでいたもので、収録作は以下のとおり。

小泉八雲「破約」
泉鏡花「海異記」
森鴎外「蛇」
村山槐多「悪魔の舌」
谷崎潤一郎「人面疽」
内田百間「尽頭子」
大泉黒石「幽鬼楼」
岡本綺堂「鎧櫃の血」
畑耕一「魔杖」
田中貢太郎「竃の中の顔」
川端康成「抒情歌」
邦枝完二「松助怪談」
平山蘆江「大島怪談」
橘外男「逗子物語」
森銑三「猫が物いふ話」「猫の踊」
太宰治「竹青」
豊島与志雄「沼のほと」
山田風太郎「みささぎ盗賊」
久生十蘭「骨仏」
長田幹彦「小唄供養」

 いやいや、すごいラインナップだ(しかもこれで上巻)。ミステリ畑の人以外でも日本の文学史におけるさまざまな人間が、一度は幻想怪奇小説に手を染めていたことがわかる。そのせいか単なるホラーアンソロジーと違ってとにかく文章に味わいがある。文章がうまいというのではない。世界にどっぷり浸れるという感覚。最初の数行でもうその異世界に取り込まれるという感覚。ああ、なんて説明すればいいのだ。
 おそらくこのアンソロジーに収録されている多くの著者は、特にオチを効かそうとか、怖い話を書こうとかを意識していたとは思えない。実際あまり怖くないものもあれば、「え、これで終わり?」みたいなものもある。それでも怪談集成として本書がハイレベルを維持しているのは、そういうホラーの技巧を凝らさなくとも、十分に著者が恐怖についての何たるかを理解している(意識しているにせよしていないにせよ)からであろう。得てしてホラーものというとはったりをかませすぎる嫌いがあるが、上質な怪奇幻想小説は奇をてらわなくても成立するのだ。当たり前の結論だが、それを再認識できただけでも読む価値はある。

 ちなみに巻頭一発目の小泉八雲「破約」はマジ怖い。小泉八雲なんて子供向けを読んだ記憶しかないが、本書に収められているのは正真正銘の怪談。ちょっと八雲をまとめ読みしたくなったほど気に入ってしまった。
 さ、明日からは下巻もぼちぼちと読んでいきましょう。

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