Posted in "国内作家 樹下太郎"
- Category: 国内作家 樹下太郎 06 15, 2014
- 樹下太郎『鎮魂の森』(出版芸術社)
- ひさしぶりに出版芸術社のミステリ名作館から一冊。ものは樹下太郎の『鎮魂の森』。 今でこそ論創社の頑張りが目をひくが、一昔前に国産の名作発掘といえば出版芸術社の「ふしぎ文学館」であり、「ミステリ名作館」だったように思う。『鎮魂の森』も元本は桃源社から1962年に刊行され、長らく絶版だったものがミステリ名作館の一冊として1993年に復刊されたものである。 こんな話。食品会社社長の長男である貴一郎は、跡継ぎの...
- Category: 国内作家 樹下太郎 03 19, 2009
- 樹下太郎『非行社員絵巻』(文春文庫)
- 樹下太郎の『非行社員絵巻』を読む。恋人に振られたことがきっかけで、より彩りのある人生をめざすため、非行社員となるべく修行する若手サラリーマン花見八郎の奮闘を描く連作集。なお、本書はミステリーではなく、純粋な明朗サラリーマン小説なので念のため。 「元旦開幕」「鬼はうち」「ひなの夜」「花見花見」「N号作戦」「…………」「多忙社員」「アナタン」「月明悲歌」「ソコツ人」「清潔城主」「涙の太陽」「飛行社員」 ...
- Category: 国内作家 樹下太郎 08 25, 2007
- 樹下太郎『サラリーマンの勲章』(文春文庫)
- 二、三日前に雨が降って以来、気温も少し落ち着いて涼しく感じる今日このごろ。32℃が涼しく感じるってのもかなりのものだけどね。 読了本は樹下太郎の『サラリーマンの勲章』。 著者がミステリーから普通小説(特にサラリーマンを題材にしたもの)へ移行する、境のあたりに書かれた連作短編集である。各作品に共通する登場人物などはおらず、基本的には独立した作品。それを連作たらしめているのは、タイトルどおり、「サラリ...
- Category: 国内作家 樹下太郎 10 15, 2006
- 樹下太郎『散歩する霊柩車』(光文社文庫)
- 樹下太郎『散歩する霊柩車』を読む。著者の初期短編を集めたもので、収録作品は以下のとおり。「夜空に船が浮ぶとき」「散歩する霊柩車」「ねじれた吸殻」「悪魔の掌の上で」「泪ぐむ埴輪」「孤独な脱走者」「雪空に花火を」「日付のない遺書」 強いていえば上から二作が本格、次の二作が悪女もののサスペンス、残りの四作が犯罪小説風。一見バラエティに富みつつも、共通するのはそのしみじみとした味わい。がつんとくるほどの...
- Category: 国内作家 樹下太郎 12 04, 2005
- 樹下太郎『目撃者なし』(光文社文庫)
- 主人公は中堅の受信機メーカーに勤める水品尚策とその妻。水品はセールスマンとして働いていたが、得意先の倒産というトラブルに巻き込まれ、会社に大きな損失を与えたとして、閑職の事務課に飛ばされてしまう。しかし、水品はそんな生活にも不満を覚えることなく過ごしていたが、そんなある日、妻が交通事故に遭ったという知らせを受ける。慌てて病院にかけつけた水品は、妻の不審な挙動から、彼女が浮気をしていたのではないか...
- Category: 国内作家 樹下太郎 07 28, 2005
- 樹下太郎『銀と青銅の差』(文春文庫)
- じんま疹の薬を飲んでいるとけっこう副作用が辛い。眠気は凄いわ、顔はぽかぽか火照ってくるわ、眼はしばしばするわで、ほとんど仕事が手につかない。仕方なく早退して大人しくしている。 読了本は樹下太郎の『銀と青銅の差』。以前に『四十九歳大全集』を読んだことはあるが、長編ミステリはこれが初めて。まずはストーリーから。 その会社の社員バッジには2種類あった。課長職以上を示す銀バッジと、それ以下の青銅バッジで...
- Category: 国内作家 樹下太郎 05 30, 2004
- 樹下太郎『四十九歳大全集』(講談社)
- 今まで著作を読んだことがないくせに、古本屋で見かけるとついつい買ってしまう作家がいるものだが(いるのか?)、私には樹下太郎がその一人にあたる。まあ、短編をいくつか読んだことはあるし、その印象がよかったので、まったく未知の作家というわけではないのだが。 さて、樹下太郎である。彼がミステリ作家であることはもちろんご存じだろうが、実はミステリ作家として活躍した期間はそれほど長くなく、1958年頃からせいぜ...