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 ブリタニー・ヤングの『ホームズは眠れない』を読む。
 以前に洋泉社の『ロマンスの王様 ハーレクインの世界』の感想をアップしたとき、ポール・ブリッツさんがコメントで紹介してくれた本だが、これが長い読書人生で初のハーレクインである。

 こんな話。
 サマンサ・イングリッシュはボストンの女私立探偵。ある事件の調査でホテルの一室に侵入しようとしたが、なんと部屋を間違え、警察に突き出されてしまう。警察で訊問を受けようとした彼女の元へ現れたのが弁護士のピアス。サマンサを気に入っている、ある大金持ちの老女が派遣してくれたのだ。ピアスの自信満々の態度に、サマンサはムッとするものの、どこか惹かれるものを感じて……。

 ホームス#12441;は眠れない

 結局はハーレクインだから、どんなアプローチをしようがそのテーマはロマンス以外にありえない。要はその見せ方が実にいろいろあるということ。本書の場合はタイトルが『ホームズは眠れない』というわけで、ミステリ的な味つけでもっていくロマンス小説だ。
 ただし、「ホームズ」とは正直まったく関係はない。原題もそもそも『Far from Over』だし、内容的にもどちらかといえばスー・グラフトンのキンジー・シリーズやジャネット・ヴァノヴィッチのステファニー・シリーズに代表されるような女性私立探偵ものである。
 ちなみに「ホームズ」ってのは、作中で、主人公のサマンサがピアスに「ホームズ君」とからかわれることが由縁。それもせいぜい3回ぐらいなので、まあ、無理矢理な邦題ではある(苦笑)。

 肝心の中身の方だが、ネタとしては産業スパイもので、主人公のサマンサが犯行の証拠を突き止めるため、容疑者の身辺を探るといった展開。そこへ事件で知り合った弁護士のピアスが絡み、両思いながら身分や価値観の違いで結ばれるには至らない二人のロマンスが平行して描かれる。
 ロマンス小説といえども基本的にはミステリのスタイルを模しているため、けっこう普通に読めてしまった。というかロマンスに絡む描写を除けば、意外なほどミステリらしいストーリーなのである。ロマンスに絡む描写も、濡れ場なんてほとんどなくて、どちらかというと心理描写がメイン。だからそのあたりをサクッと流して読めば、下手なミステリを読むのとほとんど変わらない。逆にいうとハーレクインの読者は、このぐらいのロマンスでは物足りないのではないかと、いらぬ心配をしてしまうぐらいである。

 まあ、一作だけで断言するのもなんだが、やはりミステリとロマンスという両ジャンルは、意外に相性が悪くないようだ。実際、映画などではこの両者を上手くまとめているものなぁ。その辺りが本日の収穫ということで。

テーマ:ロマンス - ジャンル:本・雑誌



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