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 正月気分も抜けつつある三日、今年最初のブログ更新ということで、みなさま本年も『探偵小説三昧』ご贔屓のほど何卒よろしくお願い申し上げます。<(_ _)>

 正月は特別大したこともなく、ひたすら飲んで食って寝て、合間をみて初詣、気合いを入れて銀座三越のタンタン展、ついでにバーゲンものぞいてみましたという三日間。ミステリも就寝前にはぼちぼち読み、平行してPSVitaの『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』をプレイするという状況で、無理矢理だらだら遊ぶのだという強迫観念で行動していたような気がする。我ながら貧乏くさい。

 海外クラシック・ミステリのファンジン『ROM137号』が届いたのだが、まさかの元日着。届いた喜びより、むしろ宅急便が正月に届くことに驚いてしまった。



 さて、今年最初の読了本はマイケル・コックスの『夜の真義を』。今年の年越し本だが、実は年越しどころか三週間ぐらいかけて読んできた一冊である。まずはストーリーから。
 ロンドンで法律事務所のために裏仕事を請け負う男、エドワード・グラプソン。かつて英才と呼ばれた彼だが、旧友であったフィーバス・ドーントに陥れられ、イートン校を放校される目にあう。だが、二人の因縁はそれだけではすまなかった。
 あるときエドワードは母の遺品から、自分が第二十五代タンザー男爵の実の息子であることを知る。その証拠を探し求めるエドワードの前に現れたのは、いまや詩人として名を成したフィーバス・ドーントであった……。

 夜の真義を

 本書は六百ページあまりもある大長編。著者はこれがデビュー作というから、下手をするとぐだぐだになってもおかしくないボリュームなのだが、構成は予想以上にしっかりしている。歴史小説や悪漢小説、恋愛小説など、さまざまな要素とさまざまなエピソードを重ねつつも、大筋はあくまで主人公グラブソンがドーントという仇敵に復讐する物語。これを称してディケンズ風という声もあるようだが、個人的にはヴィクトリア朝時代のハードボイルドあるいはNHKの連続ドラマ風とも感じてしまった(笑)。

 むろん、これは貶めているわけではない。むしろ驚嘆すべき点であり、長い物語を飽きさせないその安定した語り口は見事と言うほかない。エピソードの面白さはもちろんあるのだが、その時代がかった文体によるところが大きいのだ。非常に雰囲気を盛り上げることに成功しているばかりでなく、格調すら感じさせる絶妙の語り口。これは訳者のお手柄ともいえる。

 ちょっと気になったのは、「編者の序文」と、それに続く本編の一人称というスタイル。もうひとつは著者による大量の注釈である。どうしても胡散臭さを感じてしまうのはミステリ読みの悪い癖かもしれないが、これらの形をとるだけの意味はもう少し出してくれるとよかった。
 まあ、この際、それはおいておこう。
 結論。誤解を恐れずいえば、本書はあらゆる面で古くさい。だが小説が本来持っているはずの物語ることの力、本書はそれを確かめるために書かれた小説であり、しっかりそれを備えた小説といえるだろう。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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