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 ジェイムズ・サーバーの『傍迷惑な人々 サーバー短編集』を読む。
 いわゆる異色短編作家と呼ばれる書き手の一人ではあるのだが、ジェイムズ・サーバーは少々独自の立ち位置を築いているように思える。
 まあ、サーバーに限らず異色作家と呼ばれるような人は、それぞれがみな非常に高いオリジナリティを持ってはいるが、得てして彼らは世の中を斜に見すぎているというか、つまりはブラックな作風に流れる傾向が強い。そんな中にあってジェイムズ・サーバーの味は温かいユーモアだ。
 もちろん作品によっては黒い笑いもあるし、ピリッと風刺の効いたものもある。幅の広さも備えてはいるのだが、そのベースとして常にあるのは、温もりのある笑いなのである。何より読後に元気が出るし癒されるのがよい。

 傍迷惑な人々 サーバー短編集

家族の絆
「ベッドな夜」
「ウィルマ伯母さんの損得勘定」
「ダム決壊の日」
「幽霊の出た夜」
「今夜もまたまた大騒ぎ」

傍迷惑な人々
「E・B・W」
「誰よりもおかしな男」
「ツグミの巣ごもり」
「探しものはなんですか? トパーズのカフスボタン」
「空の歩道」

暴走妄想族
「マクベス殺人事件」
「虹をつかむ男 ウォルター・ミティの誰も知らない別の人生」
「当ててごらんと言われてもねえ……」
「もしグラント将軍がアポマトックスで酣酔の境地にあったとしたら、南北戦争はいかに終結していたか?」
「一四二号の女」

そういうぼくが実はいちばん……
「伊達の薄着じゃないんだよ」
「第三九〇二〇九〇号の復讐」
「なんでも壊す男」
「放送本番中、緊張しないためには」
「本棚のうえの女」


 収録作は以上。本書では「傍迷惑な人々」というタイトルにもあるとおり、ちょっとヘンな人々が巻き起こすドタバタを集めている。家族や仕事仲間、友人、果ては自分自身に至るまで、確かに迷惑なんだけれど、でも憎めない人々の物語。全体的な味わいとしては熊さんや八つぁんが織りなす落語の笑いに近いか。他愛ない話も多いし、これだという絶対的な傑作もないのだけれど、先に書いたようにとにかく読後感がよいのでひとときの楽しさは保証できる。
 個人的な好みは「誰よりもおかしな男」「ツグミの巣ごもり」「マクベス殺人事件」「なんでも壊す男」あたりか。特に「マクベス殺人事件」は“ミステリあるある”とでもいうような、ミステリ好きにとっては苦笑抜きには読めない作品である。

 なお、タイトルの頭にある「家族の絆」云々はそんな各パートの種類を示すためにつけたものらしいが、正直それほどの意味はなく蛇足気味。ユーモア小説なのだし、むしろそういう予備知識なしで読む方がいいのではないかな。


テーマ:幻想文学 - ジャンル:本・雑誌



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