Posted in "国内作家 西東登"
- Category: 国内作家 西東登 03 28, 2015
- 西東登『クロコダイルの涙』(集英社文庫)
- 西東登の『クロコダイルの涙』を読む。乱歩賞受賞作の『蟻の木の下で』がけっこう良かったので、他のもいろいろと読み進めることにしたのだが、ほぼ絶滅状態なのが困ったものだ。確かに日本ミステリ史のうえではさほど目立った存在ではないけれど、それでも乱歩賞作家だし、長篇も20冊ぐらいはあるというのに。まあ古書価が比較的落ち着いているのが救いか。 それはともかく本作は著者最後の長篇。これがまた、なかなかの異色作...
- Category: 国内作家 西東登 09 20, 2014
- 西東登『蟻の木の下で』(講談社文庫)
- 西東登は『蟻の木の下で』で第十回の江戸川乱歩賞を受賞した。1964年のことである。だがこれが著者のデビュー作というわけではなく、すでに1940年代前半に商業誌でデビュー自体は飾っていたようだ。 だが、なんせ戦時中のことでもあるし、戦後も映画誌編集者としての仕事に専念していたらしく、それほど目立った活動はない。それがいきなり初の推理小説、初の長篇小説に手を染め、デビューから二十年あまり経ってから乱歩賞の栄...