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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in "国内作家 横溝正史"

Category: 国内作家 横溝正史    08 05, 2018
横溝正史『雪割草』(戎光祥出版)
 横溝正史の『雪割草』を読む。地方紙に連載され、七十年以上もその存在が埋もれていた幻の長編作品である。 時局にふさわしくないという理由で、探偵小説が書けなくなった第二次大戦中のこと。正史は捕物帳などに活路を見出していたが、同じ頃に本作のような普通小説も執筆していた。地方紙での掲載、戦時中という状況が本作を幻の作品にしてしまったようだが、地方紙とはいえ半年にわたって連載された作品がなぜこれまで研究者...

Category: 国内作家 横溝正史    11 30, 2012
横溝正史『消すな蝋燭』(出版芸術社)
 横溝正史の『消すな蝋燭』を読む。出版芸術社の「横溝正史探偵小説コレクション」最終巻である。まずは収録作から。「神楽太夫」「靨」「蝋の首」「消すな蝋燭」「泣虫小僧」「空蝉処女」「鴉」「首・改訂増補版」  このシリーズは埋もれたレア作品を発掘しつつ、各巻ごとに何らかのテーマをもたせるという、非常に素晴らしいコレクションなのだが、今回は岡山を舞台にした作品でまとめられている。 そのテーマ自体はまあいい...

Category: 国内作家 横溝正史    10 03, 2012
橫溝正史『迷路荘の怪人』(出版芸術社)
 横溝正史の『迷路荘の怪人』を読む。出版芸術社から「横溝正史探偵小説コレクション」として刊行されている全三巻のシリーズが二巻増えることになり、その第四巻にあたる。  収録作は「旋風劇場」と「迷路荘の怪人」という中篇が二作。 もちろん新刊とはいっても幻の新作などがあるはずもなく、これは現在、流通している作品『仮面劇場』と『迷路荘の惨劇』の元になった作品である。それぞれ今ではおいそれと読めるようなもの...

Category: 国内作家 横溝正史    02 14, 2010
横溝正史『横溝正史探偵小説選III』(論創ミステリ叢書)
 バンクーバー冬季オリンピックが始まりましたな。こういうスポーツイベントは根っから好きなので、時間があれば見る方だが、昨日はとりあえず開会式を堪能。 で、冬季の開幕式でたまにあるのが、ショーの演出が変にアートに走りすぎる場合(こんなこと思ってるの俺だけ?)。スポーツイベントに過度に意味を持たせすぎる悪い例なのだが、こういうときは往々にして盛り上がりに欠け、見ていても全然わくわくしない。今回はフロア...

Category: 国内作家 横溝正史    11 03, 2009
横溝正史『横溝正史探偵小説選II』(論創ミステリ叢書)
 昨日の神田古本まつりは、やはり一度ぐらいはのぞいておこうと思っていたら、小雨が降り出してあえなく玉砕。結局今年は縁がなかったということで。 読了本は論創ミステリ叢書から『横溝正史探偵小説選II』。未発表作品「霧の夜の出来事」を含む『横溝正史探偵小説選I』も悪くはなかったが、本書でも単行本初収録となる作品をどかっと詰め込んだ大盤振る舞い。ジュヴナイル拾遺集ゆえの品質がちょいと気になるとはいえ、御大の...

Category: 国内作家 横溝正史    10 16, 2008
横溝正史『横溝正史探偵小説選I』(論創社ミステリ叢書)
 『横溝正史探偵小説選I』を読む。 2006年に横溝正史の未発表原稿が発見されたのは、まだ記憶に新しいところだが、その作品を含めてこれまで単行本未収録だった作品をドカッとまとめたのが本書である。既に「II」も発売されているが(こちらはジュヴナイル中心)、いやあ横溝正史の新刊、しかも未読の作品ばかりをまとめた本が、こうして立て続けに発売されるという事実が凄いやね。マイナー作家ならともかく、なんせ横溝正史。...

Category: 国内作家 横溝正史    08 05, 2006
横溝正史『聖女の首』(出版芸術社)
 横溝正史探偵小説コレクションの掉尾を飾る『聖女の首』を読む。「金襴護符」「海の一族」「ナミ子さん一家」「剣の系図」「竹槍」「聖女の首」「車井戸は何故軋る」「悪霊」「人面瘡」「肖像画」「黄金の花びら」 上から五作が戦時中のノンシリーズもの、次の五作が戦後に発表されたもので、金田一シリーズの原型になった作品。最後の一作はジュヴナイルの金田一ものという構成。戦時中の作品では、ミエミエながらも「ナミ子さ...

Category: 国内作家 横溝正史    05 29, 2006
横溝正史『深夜の魔術師』(出版芸術社)
 横溝正史『深夜の魔術師』を読む。出版芸術社から出た横溝正史探偵小説コレクションの二冊目で、主に戦時中に書かれたプロパガンダ小説から採られたもの。海野十三の同様の作品等で、だいぶこの手の小説に慣れているつもりだったが、同じプロパガンダ小説でも作者が変われば内容もまた異なるのだという、当たり前のことを改めて実感する。 つまり横溝正史の場合、プロパガンダ小説とはいえ、一般的なストレートに国威発揚を唱う...

Category: 国内作家 横溝正史    05 17, 2006
横溝正史『赤い水泳着』(出版芸術社)
 ハリポタ新作発売日。前回ほどのバカ騒ぎにはなっていないようだが、それでも大書店のディスプレイはなかなか激しいものがある。まあ買い切りの初版200万部だから、売る方もそれなりに気合いを入れないと。売り時を逃すとえらいことになるしね。まあ、販売方法、小説の内容、翻訳等、とにかく批判されるネタには事欠かない本だが、これもベストセラーの宿命でしょう。当事者たちもあまり過敏にならず、もっと普通にやっていけば...

Category: 国内作家 横溝正史    06 17, 2002
横溝正史『横溝正史自伝的随筆集』(角川書店)
 『横溝正史自伝的随筆集』(角川書店)を読了。これはすごい。正直ちょっと感動した。 かつて横溝が残した数々のエッセイ。これらを集めて自伝として読めるように構成した随筆集が本書である。 大きく分けると前半が中学頃までの思い出、後半は乱歩に出会って以降の回想となる。はっきり言って後半は特別新味があるわけでなく、他の書籍でもわりと簡単に読むことができる内容だ。だが前半は違う。雑誌「幻影城」で連載され、途...

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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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