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 論創海外ミステリからアンドリュー・ヨークの『コーディネーター』を読む。
 著者のアンドリュー・ヨークは本名クリストファ・ニコール。このニコール名義だけでも百作あまりの作品を発表している英国の作家だが、他にも十以上のペンネームを駆使し、なんと二百作以上の著作がある。
 基本的には歴史や戦記、冒険、サスペンス系の書き手で、ニコール名義ではかつて光人社から戦記もののマガン・シリーズが五冊刊行されたほか、創元推理文庫からはマックス・マーロウ名義で『フェイス!』をはじめとしたパニック小説が四作出ている。ちなみにこちらは奥さんとの合作用ペンネームである。

 さて、本題の『コーディネーター』だが、まずはストーリー。
 舞台は冷戦下のヨーロッパ。ジョナス・ワイルドは英国諜報部から、スウェーデン実業家の暗殺を依頼される。詳細を知らされないまま真冬のベルギーに潜入するジョナス。現地のエージェントと落ち合い、脱出計画を確認したあと、実業家に接触する。
 だが、そこで実業家から紹介されたのは、自分の正体を知る東側諜報部の人間だった……。

 コーディネーター

 本作はジョナス・ワイルドを主人公にしたシリーズの第二作にあたる。ワイルドはフリーの殺し屋だが、基本的には英国情報部からの依頼で動く。ターゲットは国家の利害に絡む大物だったり、国際的に暗躍する組織の面々。したがって殺し屋が主人公といっても、その内容は犯罪小説とかノワール寄りではなく、ほぼスパイ小説という趣である。
 まあスパイ小説とはいってもル・カレなどのようなシリアス系ではなく、味付けはもっぱら007に影響を受けたとしか思えない娯楽優先の活劇タイプだが。

 とはいえバイオレンス度の高さ、先の読めない展開など、中身は捨てたものではない。特に敵味方、さらには攻守が激しく入れ代わる激しいストーリー展開はなかなか楽しい。
 この手の作品にお約束ともいえる秘密兵器も、超音波で相手を感知するレーダーつきの盲人用サングラス、毒ガスを仕込んだコンパクト、人間の冷凍保存装置など、定番的なものが多いけれどもまずまず充実。そのくせジョナスの殺しの手段は秘密兵器などに頼らず、手刀による必殺の一撃とか、トンデモ度がそれなりに高いのも読みどころといえる。

 というわけで一昔前も二昔も前の活劇スパイものではあるが、決して退屈はしない作品。映画の007が好きな人ならけっこう楽しめるだろう。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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