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 クリフォード・ウィッティングの『同窓会にて死す』を読む。
 イギリスのあるパブリック・スクールで開かれることになった同窓会。卒業生のハリー・チャールトン警部も妻を伴って出席することになった。続々と集まる同窓生。だが、久々に集まった人々だからこそ、起こさなくともよい火種までもが湧き起こるのである。そしてクリケットやダンスで宴もたけなわの頃、同窓生の一人ガースタンク大佐が銃で撃たれて死亡した。大佐ともみあっていた男が犯人と思われたが……。

 最近読んでいる作品にたまたま多いのだが、本作も事件が起こるのは、物語が残り三分の一を切る頃である。本格における楽しみのひとつに「謎を推理する」ということがある以上、これはその楽しみを大きく削ってしまいかねない行為にも通じるわけだ。それなのに、わざわざ事件発生を後に持ってくるのは、そもそもどのような意図があるのだろう。
 まず考えられるのは、事件の背景をより長く詳しく描写することで、事件に「説得力を持たせる」ことであろう。また、ものによっては「サスペンスを高める」効果もありそうだ。また、推理のための材料をできるだけ多く提示する、つまり伏線を張るだけ張って、「読者に挑戦するのだ」という作者の意志を感じるときもある。
 理想をいえば以上のような要素がうまく融合することだろうが、これが成功した作品は、事件などどうでもよくなるぐらいしっかりしたドラマを見せてくれることが多い。先日呼んだジョセフィン・テイの『裁かれた花園』やアントニイ・ギルバートの『つきまとう死』などは、この幸せな成功例といえるだろう。
 そこで本書だが、残念ながらそこまでのレベルには至っていない。ときにはまったり、ときにはちくちくと人間関係が描かれる様は悪くない。しかし、ヒントを与えすぎているというか、描写が正直すぎるというか、ここは要注意だなというのがまるわかりなのである。動機にしても機会にしても、少し手の内を明かしすぎではないだろうか。したがってパズラーとしてはやや物足りない出来に終わっている。
 なお、探偵役が三人いて、お互いに牽制しながら捜査を進めるところはなかなかユーモラス。人間ドラマの部分も悪くないので、過大な期待さえしなければそこそこ楽しく読めるだろう。

テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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