Twitterではすでに呟いているが、こちらでも少し宣伝。
12月10日発売の論創海外ミステリ261巻、クリフォード・ウィッティングの『知られたくなかった男』で、解説を書かせていただいた。
で、これがお世辞抜きでいい作品なのである。

クリスマスの夜、英国の小さな町で起こったある男の失踪事件。男は募金集めのために行われていたキャロリングに参加していたため、募金泥棒と疑う者までいる始末。やがて付近の井戸から死体が発見されるが……。
英国のクラシックミステリらしい魅力に溢れた作品。序盤のキャロリングシーンから雰囲気満点で、そこから失踪事件、殺人事件、アマチュア探偵の捜査という流れはまさに王道。程よいユーモアも心地よく、ラストで明かされる意外な真相に到るまで、丁寧に作り込まれた印象である。
切ない余韻も相まって、クリスマスには絶好の一冊。ぜひこのクリスマスにおすすめしたい。
ちなみに著者のクリフォード・ウィッティングには他にも代表作と言われる作品があるので、まだまだ続刊を期待したいところ。『知られたくなかった男』の主人公格・ラサフォードが初登場するチャールトン警部シリーズ第一作『Murder in Blue』が個人的には特に気になっていて、出来自体は少し落ちるようだが、書店を経営するラサフォードとミステリマニアの店員のやりとりがかなり面白いらしい。