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 今年最初の一冊はJ・J・コニントンの『レイナムパーヴァの災厄』。
 作者は本格ミステリ黄金期に活躍した英国のミステリ作家。一昔前までは幻の作家扱いだったが、この十年で四冊が刊行され、ようやくその存在が知られるようになってきたのは喜ばしい。
 ただ、論創社から出ている本書と『九つの解決』はともかく、長崎出版の『或る豪邸主の死』は版元倒産によりすでに入手できるのは古書のみ、『當りくじ殺人事件』は私家版ゆえ一般的な流通がないことや少部数ということもあり、こちらも入手は難しいかもしれない。
 もともとニッチな世界ではあるので、クラシックミステリは出たらとりあえず買う。まずはこの習慣をお忘れなく。

 それはともかく『レイナムパーヴァの災厄』。まずはストーリーから。
 元警察本部長のクリントン・ドリフィールド卿は、田舎に引っ越した姉のもとを目指し、車を走らせていた。その途中で出会ったのが、一人の女性をめぐって喧嘩している二人の男。そして一人残された女性を送ろうとするも拒否され、訝しく思いながらもその場をあとにするクリントン。
 やがて姉の家へ到着したクリントンだが、そこでも交通事故のような事件、姪の結婚問題などに巻き込まれる。果たして背後ではいったい何が起こっているのか……。

 レイナムパーヴァの災厄

 これはまあ何という異色作。作者の狙いは相当に面白く、しかもクリントン・ドリフィールド卿を探偵役とするシリーズものでこれをやったことが素晴らしい。
 なんせ、あの有名作家やこの有名作家の某趣向よりも早く発表されているのである。それどころかこれをシリーズ半ばでやってしまうという暴挙(笑)。個人的には大いに評価したいところである。

 ただ、ネットでの評判を見ると、必ずしも好評価ばかりではなく、なかなか辛い評価も多いようだ。
 まあ、その気持ちはわからないでもない。結局、これを本格でやることの難しさというか。ぶっちゃけ推理の部分は雑だし、プロットもこなれていない印象で、要はとてもフェアな本格ミステリとは言えないのである。また、掴みは悪くないものの、中盤の展開がダレ気味なのも気になる。

 要はそういう欠点とラストの衝撃を天秤にかけて、どちらを取るかというところだろう。
 個人的にはいろいろあれども作者の稚気をこそ買いたい。管理人もこれが初コニントンだったので、残りもできるだけ早いうちに読んでみよう。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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