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 なぜかここ数日というもの、さくさく進む読書。本日はリチャード・レイモンの『殺戮の<野獣館>』を読む。日本での刊行当時は、そのスーパーエログロ系が評判になり、今でもカルト的な人気を集めている作品らしい。
 しかし一読して唖然。いや、これは何といったらいいのか。まあ、典型的B級ホラー小説であることは確か。よりわかりやすくいえばエログロ満載の悪趣味なホラー小説である。レイプ、殺人、人とも獣ともつかぬ怪物、カニバリズム等、健全な人であればたちまち眼を背けたくなるような要素がてんこ盛り。それらの要素を一気に叩き込むかのようにストーリーを展開させる。刺激があればよい、それがすべてだ。
 解説で風間賢二氏がうまいことを書いている。
「ベストセラー・リストに登場するホラー作家たちが意識的に抑えている過度にいかがわしい想像力がある」
 まさしくそのとおりである。キングやクーンツ等のメジャーなホラー作家にはすでに自分たちのスタイルがあり、しっかりした読者がついている。ホラーに対する自身の主義や美学がある。表面的な刺激のみを求める作品など、書くに書けないのは当たり前だ。そこをついてきたレイモンは、ある意味したたかである。
 もうひとつ、レイモンがカルト的人気を集めている理由が考えられる。今書いたことと少し矛盾するかもしれないが、描写や内容が過激すぎるが故にリアルさをなくし、ホラ話に転化している気配がある。それを象徴するのがラストのオチだ。本来なら後味が最悪になるところを、思わず笑ってしまうぐらいの衝撃がある。レイモンが好きだという人は、おそらくこのホラーを超えてしまったところに魅力を感じているのではないだろうか。
 かくいう私も正直、途中までは辟易しながら読んでいたにもかかわらず、このラストで本書の評価は大きく変わってしまった。人にはおすすめできない作品だが、このラストだけは教えてあげたい。そんな気にさせるパワーはある。なんとも悩ましい作品なのだ。
 ちなみに本書はシリーズ化されていて、本国では四巻まで刊行されている(邦訳は二巻まで)。別に続けて読む気はないけれど。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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