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 ピーター・スワンソンの『そしてミランダを殺す』を読む。馴染みのない作家ではあるが、邦訳としては一応四年ほど前にヴィレジブックスから『時計仕掛けの恋人』が出ており、本作が二作目とのこと。

 まずはストーリー。若くして成功をつかんだ実業家のテッド。美しい妻ミランダと結婚して三年。豪華な新居も建築中で、何の不満もないはずだった。だが実はミランダが新居の建築責任者と不倫していることを感づいていた。
 そんなある日、テッドは空港で知り合った女性リリーに、妻を殺したいという話をしてしまう。リリーはそんな妻は死んで当然だと断言し、妻殺害の協力を申し出るのだが……。

 そしてミランダを殺す

 解説によるとパトリシア・ハイスミスとのシンパシーみたいなところを書いているが、管理人はルメートルの出世作を思い出した。共通するのはサスペンスの妙とか構成の面白さというところだろうが、本作もその点ではなかなか面白い試みをやっている。
 それが四人の主要な登場人物による一人称である。
 前半は主にテッドとリリーの殺人計画、そして殺人に加担する謎の美女リリーの半生というような形で進み、後半以後はさらに二人の語り手が加わり、展開も予想外の方向に進んでいく。殺す者と殺される者、追う者と追われる者、それぞれの思惑が入り乱れ、サスペンスを高めていくといった按配である。なかでも注目したいのはリリーとミランダの絡みで、強い女性同士の腹の探り合いはすこぶる熱い。
 また、リリーのキャラクターは要注目。要はこれもハイスミスの某有名主人公のパクリ、いや、オマージュといったキャラクターなのだが、本作は確かにあちらこちらでハイスミスの影響がうかがえ、それを探してみるのも一興だろう。

 ただ、敵味方の攻防はそれなりに面白いけれど、伏線の妙とか知的感動とか説得力とかには正直乏しい。意地悪い言い方をすると、単にハラハラさせたいためだけに展開をひっくり返すようなところもあり、個人的にはやや物足りなさが残る。
 つまらない作品ではないが、本作を読むかぎりハイスミスやルメートルの域にはまだ届かないかなというのが率直なところである。


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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