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 学研M文庫「伝奇ノ匣」シリーズから『村山槐多 耽美怪奇全集』を読了。
 短編「悪魔の舌」しか読んだことのない作家だが、本来、村山槐多は画家であり、詩人である。小説はどちらかというと余技であるが、他にも戯曲や童話なども書いており、とにかく創造することにとりつかれた芸術家であることは間違いないだろう。しかもその作風というか嗜好がまた幻想的であり、加えて若干23歳にして夭折したのだから、一部に熱狂的ファンがいることは頷ける。
 本書はそんな村山槐多の怪奇趣味を満喫できる全集である。数少ない小説に加えて(未完のものもいくつか含まれている)、戯曲や童話、日記、エッセイ、詩、散文詩などをまとめているほか、津原泰水氏による槐多の評伝的作品をも収録。作品数が少ないせいもあるだろうが、まあ至れり尽くせり。ミステリサイドから見た村山槐多の功績はほぼこれで俯瞰できそう。
 ただし、小説だけをみれば、それほど収穫があるわけではなかった。やはり出来でいえば「悪魔の舌」はダントツであろう。「魔童子伝」「魔猿伝」といったモンスター系ホラー(という言い方でよいのか?)も対決シーンなどはなかなか手に汗握る出来で、悪くはないのだが、「悪魔の舌」の気色悪い発想や描写には勝てない。
 むしろ短編小説と共通するテーマで書かれている(と思うのだが、違う?)いくつかの詩や散文詩などに、幻想的な美しさを備えた作品が多く、そちらの方がよりイメージをかき立ててくれる。これも画家というスキルがあればこその技なのだろうが、画家なら誰でもいいかというと、もちろんそんなことはあるまい。ちなみに本書では小説その他の作品と詩を交互に収めており、おそらくこれも編者の狙いと思われる。
 画家の目を通して描かれた探偵小説。そんな位置づけで読んでみるのも一興かと。

テーマ:幻想文学 - ジャンル:本・雑誌



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