Posted in "国内作家 都筑道夫"
- Category: 国内作家 都筑道夫 02 01, 2023
- 都筑道夫『誘拐作戦』(徳間文庫)
- 都筑道夫の『誘拐作戦』を読む。題名どおり誘拐テーマの作品である。 誘拐は犯罪者にとってリスクが高い犯罪とよくいわれる。誘拐した相手に顔を見られるリスク、誘拐した相手を確保しておく場所や手間によるリスク、身代金の受け渡し時に姿を見せなければならないというリスクなどなど。また、凶悪犯罪であるから捜査班も精鋭が動員されるし、検挙率も非常に高い。罪の重さを考えると最も割に合わない犯罪ということだ。 だか...
- Category: 国内作家 都筑道夫 03 01, 2022
- 都筑道夫『やぶにらみの時計』(徳間文庫)
- このところ「トクマの特選!」づいているが、本日の読了本も都筑道夫の『やぶにらみの時計』。ン十年ぶりの再読。解説によると、それまで時代小説やリライト本などを書いていた著者が、本格的にミステリを執筆するようになった、いわば推理作家としての「再デビュー作」である。 深酒をした浜崎誠治が目を覚ますと、彼は見知らぬ部屋で見知らぬ女性に話しかけられた。彼はその女性の夫で、会社社長の雨宮毅だという。慌ててその...
- Category: 国内作家 都筑道夫 02 21, 2022
- 都筑道夫『猫の舌に釘をうて』(徳間文庫)
- 「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者にもなりそうだ。」 そんな挑戦的かつ魅力的な一文で始まるミステリ、都筑道夫の『猫の舌に釘をうて』を読む。ン十年振りの再読になるが、以前に読んだときとはまた違う面白さを受けた。 主人公かつ語り手はフリーライターの淡路瑛一、いや、本作は束見本に書かれた手記という体裁を取っているので、書き手というべきか。 淡路には十年近く片想いしている女...
- Category: 国内作家 都筑道夫 05 16, 2021
- 都筑道夫『吸血鬼飼育法 完全版』(ちくま文庫)
- 都筑道夫の『吸血鬼飼育法 完全版』を読む。渋谷の宮益坂に事務所を構え、探偵事務所というか何でも屋を営む片岡直次郎を主人公にしたシリーズを復刻した作品集。旧版の短篇集『吸血鬼飼育法』をベースに、中篇の「俺は切り札」、さらには原型となる短編を収録しており、さすが日下印の構成は絶妙である。 『吸血鬼飼育法』 「第一問 警官隊の包囲から強盗殺人犯を脱出させる方法」 「第二問 吸血鬼を飼育して妻にする方法」...
- Category: 国内作家 都筑道夫 10 17, 2020
- 都筑道夫『悪意銀行』(ちくま文庫)
- 笑いの価値観というやつは本当に難しくて、たとえばM1グランプリなどの感想をTwitterなどで見ていると、人によって本当にツボがバラバラである。年齢や性別、出身地、育ってきた環境など、さまざまな要素が入り混じっての結果だろうが、日本国内でもこれだから、海外の映画や小説でのギャグが理解できないケースはかなり多い。いや、理解はできているだろう。ただ、文化が異なるので笑いのツボも異なるのである。 かくいう管理...
- Category: 国内作家 都筑道夫 03 14, 2020
- 都筑道夫『紙の罠』(ちくま文庫)
- 都筑道夫の『紙の罠』を読む。初期にはいろいろと実験的なミステリを書いている都筑道夫だが、本格ミステリに限らず、ミステリのさまざまなジャンルにおいてチャレンジと研究を続けた作家である。本作は当時の日本ではまだ少なかった(今でも少ないけれど)ナンセンス・アクションに挑戦した一作。 こんな話。紙幣印刷用紙が輸送中に強奪されるという事件が起こった。強奪犯の目的はその紙幣を使った偽札造りに間違いない。そう...
- Category: 国内作家 都筑道夫 01 19, 2020
- 都筑道夫『三重露出』(講談社文庫)
- 都筑道夫の『三重露出』を読む。昭和の作家を消化するなかで、やはり都筑道夫も忘れてはならない作家だろう。高校ぐらいのころに次々と文庫化されていたこともあり、初期の代表作はけっこ読んでいるはずで、本作も三十五年ぶりぐらいの再読である(苦笑)。 こんな話。翻訳者の滝口が目下とりかかっているのはアメリカの作家、S・B・クランストンが書いたスパイ小説『三重露出』。なんと日本を舞台にし、アメリカ人の私立探偵も...
- Category: 国内作家 都筑道夫 04 21, 2003
- 都筑道夫『死体を無事に消すまで』(晶文社)
- ちんたら読んでいた都筑道夫のミステリー評論集『死体を無事に消すまで』を読了。 いやー、さすがミステリー界きっての論客と申しますか、本当にためになる一冊である。切れ味の鋭さはもちろんだが、平易な文章でこれを表現できるところがすごい。 内容としては大きく三つのテーマに分けられている。ミステリー総論とでもいうべき第一部、書評メインの第二部、昭和初期の作家を扱った第三部である。 個人的な興味によるものだ...