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 ラング・ルイスの『死のバースデイ』を読む。
 初めて読む作家だが、日本ではもちろん海外でも知名度はそれほど高くなかったらしい。主に活躍したのは1940年代。数作の長編を発表したもののそれきり創作は途絶え、作者の名が再浮上するのは1970年代に入ってからのことになる。アメリカのミステリ愛好家ジャック・バーザンとウェンデル・ハーティッグ・テイラーの監修していた古典ミステリの復刻シリーズに本作が採用され、これをきっかけに再評価の声が高まったようだ。

 とまあ、解説の受け売りはこのくらいにして、ストーリーを紹介しよう。
 主人公は映画脚本家のヴィクトリア。映画プロデューサーのアルバートと再婚したばかりだ。ヴィクトリアの原作をアルバートがプロデュースするという、二人の共同作業となる企画も順調に進行し、幸せな毎日を過ごしていたが……。なんとヴィクトリアの誕生日の朝、アルバートが客間で毒殺されるという事件が起こる。しかもそれは、ヴィクトリアが書いた小説を再現するかのようにそっくりだった。いったい夫婦の間に何が起こったのか?

 いやー、これは拾いものである。始めから終わりまで、しっかり餡の詰まったミステリというイメージ。派手さはないが、丹念に丹念に書かいているという印象を持った。とりわけ登場人物の描写が素晴らしく、しかも登場人物=容疑者を極力限定し、そのうえで探偵小説的興味を持続させるテクニックはなかなかのものだ。
 謎解きも十分なサプライズを用意しており、そればかりか「探偵が容疑者一同を集めて謎解き」という演出までを策として用いる周到さ。さらには各登場人物に最後までドラマを与えようとするサービス精神も見事。
 論創海外ミステリの中でも本作は屈指の出来ではないだろうか。お勧め!


テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌



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