仕事を片づけるべく徹夜明けで帰宅。朝風呂に入り、やれやれと寝入った瞬間に会社から電話が入る。なんと朝イチで会社に入った電気工事の人間が、間違ったフロアのブレーカーを落としたため、サーバーの一部が吹っ飛んだらしい。ゴールデンウィーク早々、なんちゅうバッドニュース。被害状況の確認やら対策やらで寝ることもままならず。
読了本はアントニイ・バークリーの『絹靴下殺人事件』。
快調に紹介が進むバークリーの作品だが、これでシェリンガムもので残る長篇は『Panic Party』のみ。他にもシェリンガムもの短編集やA・B・コックス名義、A・モンマス・プラッツ名義の作品も出るらしいので、できればこのまま全作の邦訳が出てほしいものである。
さて、肝心の本作の内容だが、バークリーにしては珍しく派手な設定だ。ロンドンのショービジネス界を舞台に、若い女性を狙う連続殺人事件。その手口は絹のストッキングで首吊り自殺に見せかけるという異常なものだった……。
まあ、正直いうと、ここのところ紹介されているバークリーの諸作品、例えば『ウィッチフォード毒殺事件』や『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』あたりに比べると少々落ちる気はする。それは強引ともいえる最後の謎解きであったり、もうひとつ説得力に欠ける犯人像などが原因。そもそもけっこうまともに本格探偵小説をやってくれているので、逆に意外性が弱いというか(笑)。
それでも最早お馴染みともいえる、名探偵シェリンガムとスコットランドヤードの主席警部モーズリーによる推理合戦は相変わらず楽しく、読み物としては悪くない。こちらの期待しすぎで損をしているところもあるのだろう。そうそう、ラストの三行は効いてます。