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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 07 2006

ヘレン・マクロイ『死の舞踏』(論創海外ミステリ)

 論創海外ミステリからヘレン・マクロイの『死の舞踏』を読む。
 除雪作業が進む雪のマンハッタン。路肩の雪をトラックに積み込む作業中、雪のなかから女性の死体が発見された。だが不思議なことに、その死体は雪の中に埋もれていたにもかかわらず、おびただしい熱をもっていたのだ。やがて警察から協力を要請された精神分析医ベイジル・ウィリングは被害者の顔に見覚えがあることに気づく……。

 本作はマクロイのデビュー作。やがてファンを驚かせるようになる切れのいい変化球はまだ影を潜め、ストレートで押している頃の作品である。構成的にもかなり本格然とした組み方だが、冒頭から中盤までの一気の展開は悪くない。
 そして何といっても特徴的なのは、心理分析を多用した推理。これは先例がいくつかあるにせよ、注目しておいていいだろう。ただ加減を知らないマクロイが難しく書きすぎているので、もうひとつその面白さが伝わりにくいのが残念。とはいえ伏線の数々を心理分析によって解説する謎解き部分は、さすがにひきこまれた。
 結論としては、絶賛、とまではいかないものの、見るべきところは多い作品といえるだろう。ファンならもちろん買い。


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プロフィール

sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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