DVDで『サウンド・オブ・サンダー』を観る。監督ピーター・ハイアムズ、原作レイ・ブラッドベリという組み合わせには期待できたものの、できあがりはなかなか無惨なものであった。華に欠けるキャスト、素人目にもしょぼいCG、粗っぽいストーリーと、あまりお勧めできる代物ではない。実は制作途中でいろいろなアクシデントに見舞われたようで、かなり不運な映画ではあったらしい。しかしこれを劇場で観せられたお客さんこそいい面の皮である。
読了本はマイクル・Z・リューインの『探偵学入門』。
リューインは基本的には長篇作家だと思うが、この著者唯一の短編集は予想以上に上質。ことさらリューインが職人的作家だとは思わないが、長い物から短い物、コメディタッチからシリアスな物まで、意外と何でも器用にこなせることに驚いてしまった。ただ、リューインの語り口は、基本的に肩の凝らないマイルドな味わいである。「ミスター・ハード・マン」のような辛口も悪くないが、ルンギ一家もののようにユーモアを孕んだ方がより実力を発揮できるように感じられた。
あえて本書にケチをつけるとするなら、肝心のアルバート・サムスンものが入っていないこと。もうすぐ久々の長篇が出版されるということなのでそれまでの我慢か。