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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 05 2008

ジャン=ピエール・ジュネ『ロング・エンゲージメント』

 会社の移転作業は片付いたものの、案の定いろいろと不都合が起こって、今週はてんてこまい。通常業務だけでもいつも以上に慌ただしく、おまけに突発的な業務が山ほど発生。そんななか、移転業務のお疲れ様会なども行うが、これがまた酔い潰れるやつ続出で、なんだかなぁという一週間。当然ながら平日だけで仕事が片付くはずもなく、本日は自宅でお持ち帰りをぼちぼちと進める。

 こんなときのストレス解消はやはり探偵小説。ただ、上のような理由で読書もそれほど進まず、専ら買う方に集中。最近は古本欲が枯渇気味で、新刊ばかり買っているが、まあクラシックがほとんどだから古本みたいなもんか(笑)。
 ここ数日で買ったのは、ジョー・R・ランズデール 『ロスト・エコー』(ハヤカワ文庫)、アゴタ・クリストフ 『どちらでもいい』(ハヤカワ文庫)、ロバート・B・パーカー『殺意のコイン』(ハヤカワ文庫)、ヘイク・タルボット 『絞首人の手伝い』(ハヤカワミステリ)、P・G・ウッドハウス『エッグ氏、ビーン氏、クランペット氏』(国書刊行会)、フランセス・アッシュクロフト『人間はどこまで耐えられるか』(河出文庫)、スチュアート・カミンスキー『CSI:ニューヨーク 死の冬』(角川文庫)など。
 注目は何といってもヘイク・タルボットなわけだが、ノヴェライズとはいえ久々のカミンスキーも個人的には期待大。
 だが、店頭でたまたま見かけ、一発で惹かれてしまったのが、『人間はどこまで耐えられるか』である。本書は実はノンフィクション。文字どおり、人間が暑さや寒さ、高さといった極限にどこまで耐えられるかを考証した科学的蘊蓄本。不謹慎ではあるが、ミステリものならこれは気になる内容ではないか。感想は後日アップいたしまする。


 『デリカテッセン』や『ロスト・チルドレン』で独特のブラックな世界を描き、オドレイ・トトゥとのコンビ『アメリ』では、これまた不思議な恋愛を見せてくれたジャン=ピエール・ジュネ監督。再びオドレイ・トトゥとのコンビを組んだ『ロング・エンゲージメント』は、当然前から知ってはいたのだが、戦時中の真剣な恋愛を描いた映画ということで、あまり気持ちが入らなかった一本であった。
 ところが先日、だらだらと映画関係のサイトを見ていたら、あらまビックリ。この映画の原作が、あのセバスチアン・ジャプリソの『長い日曜日』というではないか。ということはこれは必然的にミステリもしくはミステリ風味である可能性は大。というわけで遅ればせながら視聴したのが、今さらながらの『ロング・エンゲージメント』である。

 物語の背景は第一次大戦時のフランス。幼い頃に病気で脚を悪くしたマチルドは、出征した婚約者が戦死したという知らせを受けるが、なぜかそれを信じる気になれない。彼女はいくつかの手がかりを基にし、戦場で何があったのか一歩ずつ突き止めてゆく……。

 おおお、悪くない。ジャン=ピエール・ジュネ監督の描く独特の世界はもとよりお好みなのだが、本作ではそういうテイストをやや抑え気味にしつつも、戦場の回顧シーンなどを織り交ぜることで、やはり一種の幻想的な映像を作り出している。
 縦軸は婚約者の生死の謎を追うミステリ・ドラマであり、ここが予想以上にしっかり構築されており、変にサスペンスに走らず、淡々と描くのがまた高ポイント。これにオドレイ・トトゥ演じる主人公の生き様や、戦争の悲惨さというテーマが絡み、結果的にそれぞれが喧嘩することなく見事に成立している。基本的には重くシリアスなドラマでありながら、独特のユーモアも忘れてはおらず、この監督さんは本当に才人である。
 ただ、フランス軍兵士の関係者が多いことや、時間軸の多用で、人間関係はかなり掴みにくいのはいただけない。あまり短い映画でもないのだが、時間をさらに長めにとり、もう少しゆったり観せてくれてもよかったのではないだろうか。


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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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