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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 03 2010

本多猪四郎『地球防衛軍』

 TwitterのTLを眺めてたら、先頃亡くなった翻訳家の「浅倉久志」氏を、「朝倉久志」と誤表記している書き込みの多さに憂えている記述を目にした。自分もけっこう後で間違いを見つけてはこっそり書き直すこともあるし、まあ他人事ではなく、ちょっとヒヤリとする。

 ただ、書き込まれた方の心情は理解できるし、確かに失礼な話ではあるのだが、あまり神経質にならないほうがよいとは思う。それこそプロの作家やライター、あるいは出版社や書店のサイト等でも、著作者の誤表記はあるわけで、ましてや一般の方の書き込みにいちいち反応していては、精神衛生上もよろしくない(まあ、上に挙げたようなプロの方々はさすがにまずいとは思うが)。

 特に日本語の場合、漢字の変換ミスというのがどうしても発生しやすい。とはいえ漢字の変換ミスならまだしも、海外の作家名などで「どうしたらこういうふうに間違えるの?」というケースもたまに目にする。
 以前、某巨大掲示板で話題になったこともあったのだが、「ディクスン・カー」を「ディスクン・カー」とやる人がけっこう多いそうな。ディスクン。何だかゆるキャラっぽい響きでちょっとかわいい(苦笑)。ちなみにこれをダブルクォーテーションで挟んでググると(“ディスクン・カー”)、なんと16400件ヒットする。さらに正解の“ディクスン・カー”でググるとこちらは175000件。つまり大雑把にいうと十人に一人は間違っているという計算である。
 先入観、思い込み、誤変換、まあいろいろ理由はあろうが、みなさんお互い気をつけましょうということで。


 「東宝特撮映画DVDコレクション」から本多猪四郎監督による『地球防衛軍』を観る。
 公開は1957年。地球侵略ものとしてはこの前年に『空飛ぶ円盤恐怖の襲撃』(新東宝)があるのだが、東宝特撮映画としてはこれが初。宇宙人や巨大ロボットが登場するものとしては日本でも初のはずだ。

 ストーリーはかなりシンプル。宇宙の放浪者たる怪遊星人ミステリアンが富士山麓にドーム型基地を密かに建設し、そこを拠点に地球征服を企むというもの。対する人類は世界の科学者が協力して秘密兵器を開発し、これに対抗する。
 科学至上主義に対する警告というテーマは、『ゴジラ』以来お馴染みのもではあるが、本作では比喩らしい比喩もなく、ストレートな主張に徹しているのが逆に新鮮か。ただ、テーマばかりかストーリーも極めてシンプルすぎるため、中盤以後はだれ気味。ミステリアンと人類の戦闘シーンが固定兵器中心のため、あまり動きがないのも厳しい。アクセントになるはずの巨大ロボット「モゲラ」が暴れるシーンも前半のみなのが悔やまれる(終盤でも登場するが、ギャグとしか思えない結末である意味ショック)。
 サイドストーリーもあるにはあるが、今回はかなりとってつけたような設定なのもマイナス要素。平田昭彦演ずる科学者の意味合いが弱く、もう少しミステリアンとの関係性を説明してほしかった。正直、今まで観てきた東宝特撮の中ではかなり落ちるほうだろう。
 ちなみに原作は丘美丈二郎。「佐門谷」とか「翡翠荘綺談」などで知られる戦前から活躍した探偵小説作家である。彼の原作に、潤色は香山滋、脚本は木村武という布陣なのに、このストーリーははないだろうという感じ。
 『海底軍艦』につながるかのようなα号やβ号の造型、マーカライト・ファープ、モゲラなどなど兵器類のイメージは悪くないので、そちらに興味があるなら観ておきたい作品だが、ううむ、それだけにこのシナリオはもったいない。
 ま、こんなこともあるさ。


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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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